後数分で、世界は巨大隕石によって消滅する。
そんな中、ボクは必死に走った。
例え世界が終わるのだとしても、この気持ちを君に伝える前に消えたくない。
ボクは肩で息をしながら、丘の上から、世界を滅ぼす炎の塊を見ている少女に向かって言った。
「ごめん! ずっと君のそばに居たのに、君に伝えたい事が今まで言えなかった!」
ボクの声に反応して、少女はこちらを見た。
「どうしたの? どうせ世界が終わるのに……」
「……そうだとしても、最後の瞬間まで、君と一緒に居たい、何故なら……君が……君の事がずっと好きだったからだ!!」
やっと言えた。どうして、もっと早く言えなかったのだろうか?
すると、少女はクスッと笑って、笑顔で答えた。
「遅すぎるよ」
「ごめん、待たせて」
ボクは、少女の隣に並び、空から迫り来る巨石を一緒に眺めた。
「あーあ、君がもっと早く言ってくれれば、私は最高の彼女として最高のデートしてたのに」
「はは、だからさ、もしも天国があるなら、そこで一緒にデートして、結婚して、そして幸せになろうよ」
ボクと少女は、世界が終わる瞬間まで手を握り合った。
「絶対に幸せにしてよね。しなかったら地獄に蹴り落とすから」
「あぁ、絶対だ」
こうして、世界は消滅した。その後、この若い二人が天国に行けたのか、はたまた人類が天国と言う理想郷に行けたかは、誰も知る事ができないことだろう。
6/7/2024, 9:50:12 PM