あの日、好きな人の隣に寝転んで、流れてくる星を見つけては「見た!」「見えなかった!」と報告し合った。
周りにもたくさん人はいたのに、2人きりでそこにいるかのように、その人の声だけが聞こえていた。
少し大人になって
雨が降るように星が降ったあの日は
遠く離れた場所にいた恋人と電話しながら空を見上げた。
「こんな星空、一生に一度しか見れないかもしれない」
電話越しの声がはしゃいでいるのがわかって、同じように声をあげた
そして今
あなたはどこで、この星空を見上げているのかな
電車に乗るときはいつも、海側の席を探した
うっそうとした山を見ているより
開けた海を見ている方が何倍も面白い
天気がよければ海を挟んだ山の岩肌まで見えたし
海でイルカが跳ぶのを見れたときは、友達と大騒ぎした
雨で海が荒れていて、大波が電車にも届くんじゃないかと不安になることもあったし
夜の海、ガラスには光が反射して何も見えない暗闇に嫌なこと全部溶けたらいいのにと呟いたこともあった
いつもの景色はいつも少しずつ違っていて
見ている自分も少しずつ変わっているのかな
赤い糸は信用できない
今までつきあった人たち
きっとこの人と…と思っていたのに
誰も長続きしなかった
結婚した彼だって
浮気されるなんてこれっぽっちも考えてなくて
誓いも指輪は何の役にも立たない
そう気付いてしまったらもう
赤い糸なんてものは存在しないんだと
それでも
もしかしたら
死ぬときに思い出す人たち
可愛い子どもたちに
残ってくれる想いが
赤い糸なのかもしれない
ソフトクリーム?
わたあめ?
白くま?
雪だるま?
りゅうのす?
くじらぐも?
…ゴジラ?
今日は何に見えるかな
朝からセミのなき声だけが大量に響いていて
先生の声も聞こえない
シャーペンを持つ手も腕も汗を書いていて
ノートがしっとりと歪んでくる
夏休みの講習は、クーラーもなければ、風も吹かない3階の日当たりだけは良い教室で
集中なんて出来やしない
あの人と会えるかも、それだけのために申し込んで、姿を見かけて喜んだけど
教室は当然のように違っていて、すっかりやる気を失っていた
遠いなぁ
見つめ続けて1年
あと半年もすれば、学校に来ることもほとんど無くなってしまう
進路どうするの、なんて聞けるような間柄でもない
同じ委員会で、少し話をしただけ
その時の笑顔と優しい声、癒されるわぁと幸せな気持ちになって
いつの間にか目で追うようになって
と言っても見かける機会なんてほとんど無いのに
あの人の姿や声はすぐにわかる自信がある
ストーカーかよ
自分に突っ込んで、ヤバいヤバい、と書けてないノートの続きを慌てて書いた
今日で終わり
明日からは予備校行って、朝から晩まで勉強
涼しいから捗るだろう
そう思っていたら
まさかの同じ予備校で隣の席に座るなんて言う奇跡のせいで
ノートの貸し借りをすることになって
気軽に挨拶が出来るようになって
勉強どころじゃないような
勉強が捗るような
それより、
あの人のことにどんどん詳しくなっていく
ああ、辛い
思わず呟いたら
ずっと勉強しか出来ないのはほんと辛いよねって
相づちなんか打ってくれちゃって
この夏がきっと一番辛いよ
でも頑張れば望みは叶うって信じたら頑張れない?
しっかり前を向いている
よこしまな思いが恥ずかしくなって
だねー、頑張ろう!
って元気に返したけど
この夏が、一番辛いのは間違いなく
この夏をきっと一生忘れない