もらん

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朝からセミのなき声だけが大量に響いていて
先生の声も聞こえない
シャーペンを持つ手も腕も汗を書いていて
ノートがしっとりと歪んでくる
夏休みの講習は、クーラーもなければ、風も吹かない3階の日当たりだけは良い教室で
集中なんて出来やしない

あの人と会えるかも、それだけのために申し込んで、姿を見かけて喜んだけど
教室は当然のように違っていて、すっかりやる気を失っていた

遠いなぁ

見つめ続けて1年
あと半年もすれば、学校に来ることもほとんど無くなってしまう
進路どうするの、なんて聞けるような間柄でもない

同じ委員会で、少し話をしただけ

その時の笑顔と優しい声、癒されるわぁと幸せな気持ちになって
いつの間にか目で追うようになって
と言っても見かける機会なんてほとんど無いのに
あの人の姿や声はすぐにわかる自信がある

ストーカーかよ


自分に突っ込んで、ヤバいヤバい、と書けてないノートの続きを慌てて書いた

今日で終わり
明日からは予備校行って、朝から晩まで勉強
涼しいから捗るだろう


そう思っていたら
まさかの同じ予備校で隣の席に座るなんて言う奇跡のせいで
ノートの貸し借りをすることになって
気軽に挨拶が出来るようになって

勉強どころじゃないような
勉強が捗るような
それより、
あの人のことにどんどん詳しくなっていく

ああ、辛い

思わず呟いたら

ずっと勉強しか出来ないのはほんと辛いよねって
相づちなんか打ってくれちゃって

この夏がきっと一番辛いよ
でも頑張れば望みは叶うって信じたら頑張れない?

しっかり前を向いている

よこしまな思いが恥ずかしくなって
だねー、頑張ろう!
って元気に返したけど

この夏が、一番辛いのは間違いなく
この夏をきっと一生忘れない

6/28/2024, 12:49:09 PM