宝物


大事にしてるものは
幾つかある
音楽だったり
言葉だったり
信念だったり

それでも結局
一番大事なのは人で
長い歳月をかけて
築き上げてきた絆が
宝物

嘘を吐かず 誠実に
そう接していきたいと
理想だけは高く

飛べない翼


空の下を征く
この限りない大地で
立ち塞がる敵を討ち倒し
遥か先に広がる地平線を目指す

我らは人の子
この地に生まれ、根差し
幾多もの苦難を歩み
乗り越えてきた

空を行く鳥に有らず
大地を駆け抜ける者なり
土を踏み締めるこの足に、脚に
誇りを持って生きている

翼などいらない

柔らかい雨


傘からはみ出た
肩が僅かに濡れている
まだ少し肌寒い
夏の前の雨
冷たくはなくて
体温で温かさが混じる
雑踏のなかを
皆と同じ速度で歩く
駅へ向かう大きな流れ
学校帰りの
とある日の午後

哀愁を誘う


近年の秋は
すっかり短くなって
暑さと寒さを行ったり来たり

体調を崩しては
憂鬱な気分に沈むばかり
四季を楽しむ余裕はどこへやら

哀愁に浸る秋の味わいも
体を壊さぬよう堪える日々に
そんな失われた秋にこそ

今や哀愁を覚えるのである

永遠に


子どもの頃は
こんな日々がずっと続くと思っていた
なんでもない毎日を送り
友だちと遊んで
帰っては家族と食事を取る

楽しいことがほとんどで
みんな若くて、歳を取らなくて
止まった時間のなかで永遠を生きていく
そんなふうに思っていた

でもやがて気づく
親が歳を取っていくことに
自分がいろいろな壁にぶつかることに
人の命に、限りがあることに

永遠なんてなくて
時は残酷にも進み続けていく
あるのは終わりだけ
終わりだけが永遠

サヨナラダケガ 人生ダ