葉緑体が気持ち悪い
植物が呼吸をするから、人間が死なないんだ
人間が呼吸をするから、地球も死なないんだ
少しずつ老いていく地球と、人と、花。
どれもみんな気持ち悪い
あたしを変えて
あたしが変えて
あしたの代わり
あたしおかわり
あたし確かにあしたに終わり
みんな違わず、みんな死ぬ
エスカレーターを降りていくと、だんだん自分が無力になっていくのを感じる。ガタガタ揺れる電気の階段が下へ近づくにつれ、落下時の衝撃も薄れるからだ。手垢でぬるついたこのラバーの手すりを飛び越えて、目撃者の頭にこびりつくような選択をしたら、私が生きていた証明になるだろうか。
階下の女たちへ目をやると、彼女たちは期間限定の苺フラペチーノみたいな頬へ耐えられないといった様子で電気信号を送り、唇の端の筋肉を釣り上けた結果、頭上の私を意図せずに傷付けている。
ならないだろうな。
私は再び高度ゼロへと舞い戻り、またしばしの間、羽ばたく機会を失うのだった。
馬鹿みたい
祈ってるだけで生きてるって勘違いして
嘘みたい
現実を受け入れられなくてもがいて否定
桜が綺麗に咲く季節に
信じていない鳥居をくぐって
風に死ぬ薄桃色の花びらをありがたがる
そんな人間に、私もなってきた
ハッピーエンド。終わりよければすべてよし。
泣き笑いの表情のまま、
私は地面にコーラを少し注いで、
地球とちょっと乾杯したよ
この土地にも、もうバイバイ
生きるのがつらくてたまらない夜に、
河原を泣きながら散歩してたら
黒塗りの川面にキラキラと散った町の光が、
私をそっとなぐさめてくれたよね
大雪の夜に川辺へ様子を見に行ったら、
あまりの静けさに私の耳が
おかしくなったのかと思ったよ
私がこの場所を選んだわけじゃなかったから、
最初はすごく戸惑ったし、
なんて寂しい町なんだと思ってた
多分二度と戻ってくることのない町だし、
楽しい記憶より辛い記憶のが多いけど、
荷物を引き払って、
もう塵ひとつない部屋を背にして、
今私がこうして夜空にひとり川辺を歩いて、
寂しいって思えてるこれが、
たまには自分にご褒美あげたい
上司のご機嫌を伺って頷いたし
たまには自分に厳しくしたい
手を抜いて仕事しちゃったし
たまには自分を励ましたい
点字ブロックで転がったし
たまには自分を愛したい
世界に一人のあたしだし