#ススキ
サワサワと風に吹かれてススキの揺れる音がする。
僕は思い立ってススキを活けて、団子を用意し、熱いお茶と共にベランダへ出た。
時期は違うかもしれないけれど、これだって立派なお月見だよな、と久しぶりに月を見上げた。
#脳裏
脳裏に電流が走る。
ずっとずっと探してた人が目の前に居る。
でも、その人は私のことを覚えていなさそうな顔で、はじめましてと挨拶をされてしまった。
ねぇ、私のことを思い出してよ。はじめまして、じゃあないんだよ?
#意味が無いこと
僕は生きる意味が分からない。
生きる意味というか、生きなければならない理由が。
だって、僕が死んだところで誰が悲しむというのか。苦しむというのか。
むしろ、誰が気にするというんだろう。
だって、僕は友達もいない。家族にも見捨てられた。
知人も少ないし、連絡先を知ってる知人なんか無に等しい。
僕はなんで生きてるんだろうか。
僕が、生きる意味は、理由は、無いんだ。
#あなたとわたし
あなたとわたしは表裏一体。
あなたはわたしで、わたしはあなた。その事を忘れてはダメよ。
昔見た夢の中で聞こえたこの言葉。
意味は未だに分からないけれど、もしも忘れてしまったらどうなってしまうのか。
僕は今でも気になっている。
#哀愁をそそる
古びて朽ちかけた人形は哀愁をそそる。
所々補修された所を見るに、きっと昔は持ち主に大事に大事にされていたのだろう。
しかし、持ち主が何らかの理由でこの人形を手放さなくてはいけなくなってしった。
そんなあったかも分からない物語を考えて、オリジナリティをだし、文章にして売る。
それが俺の作家としての仕事とは分かるものの、この人形が俺の部屋にいる。
それだけは勘弁して欲しかった。
なぜ、こんな人形がここに?
お前はその答えに、だって面白いのよその人形。髪が伸びたり、お喋りしたりするらしいわ。次のあなたの本の題材になるんじゃないかと思って。と微笑んだ。
そうか。俺がそう答えると、嬉しいでしょうと言ってたけど、こんな人形を貰って喜ぶやつがいるかと怒りたくなった。
はぁ、俺の妻はやはりどこかズレている。