#忘れたくても忘れられない
大好きだったよ。
忘れたくても忘れられない、耳の奥にこびりついている君のその言葉は。
僕自身が一生聞けなくした。
あぁ、もっと早く言ってくれてれば。
そうは思っても後の祭り。
僕も愛してた。
君を殺したその足で、僕は警察に自首することにした。
#やわらかな光
彼女が僕を見る時、いつもその瞳には仕方ないなぁ、とでもいうような光が宿っている。
暖かく、僕を導いてくれる光。
その光が僕は嫌いだった。
本当はありがたいはずなのに、何故か僕は君に見下されているような気になって、どうしても許せなかった。
ごめん、ごめんね。
僕はその言葉を飲み込んで、君の首に手を掛けた。
そんな時にも瞳にはやわらかな光を宿していた君は、どうして、僕を受け入れるのか、今でも分からないまま。
#鋭い眼差し
君はキッと鋭い眼差しで僕を睨みつけた。
こんなことして良いと思っているの?
どうにかこうにか、激情を表に出さないように怒りを押し殺した声で君は僕に問う。
良いとなんか思ってない。
だけど、君に僕の傍から離れないで貰うにはこうするしかなくて…。
普段から老若男女問わず、人気者の彼女。
僕が、君の彼氏の僕が、君に見て欲しいと思うのは、イケナイこと?
#高く高く
高く高く飛んでいけ。
僕の腕が届かないところまで、飛んでいけ。
そうでもしなければきっと、僕は君を手放せないから。
お願い、僕から逃げて……。
(逃げないで、逃げて、逃げないで。)
本当は逃げないでほしいけど、僕は君の自由な姿に惹かれたから、僕なんかに捕まらないで。
#子供のように
僕の妻は笑う時子供のようにきゃらきゃらと笑う。
体調が良くない時はその声が頭に響くこともあって勘弁してくれよ、と思うこともあるけど、それでも彼女のことが好きだから、僕は彼女の笑う姿を最後まで見ていたいんだ。
ねぇ、わらって
彼の、夫の最期の言葉は私に笑って欲しいというものだった。
だから、涙が目に溜まってたけど、それを拭って笑いかけた。
彼はありがとうと言ってそのまま目を閉じて二度と目を開けることは無かった。