#力を込めて
君が泣いていた
誰にもバレないようにひっそりと泣いていた。
僕はそれを知っていたけれど、君がバレたくないのならと気付かないふりをしていた。
だけど、今日だけはごめん。
気付かないふりを僕は出来なかった。
そんな男とは別れれば良い。
僕じゃ、だめなの?
君は逃げようとしたけれど、逃げないでと僕は君を引き留めた手に力を込めた。
#過ぎた日を想う
君との別れから早くも5年の月日が過ぎた。
この5年、君に会いたいと思わない日は無かった。
だけど、君の最後の言葉を思い出すと君に会いに行くことも出来なかった。
だけど、遂に君に会いに行けるんだ!
君と同じ病気に罹ったと分かった時、周りからは気を落とすなと言われたけど、むしろ僕の心中は歓喜の一言に尽きる。
約束通り寿命まで生きたんだ。
君もまた会えたねと笑ってくれるよね?
#星座
久方ぶりに夜空を見上げた。
田舎の夜空ほど、無駄な灯りがなくて星が綺麗に見える。
その日は月が無く、ただ星だけが夜空に瞬いていた。
ふと学生の頃に少しだけ気になって調べたことを思い出した。
夏の大三角やオリオン座などの有名どころやアンドロメダ座にペガスス座など、少し調べれば知ることが出来る星座など。
今も探せば星座はそこにあった。
何年、何十年経とうとも変わらないように見える景色がそこにはあって、僕たちを見ている。
また気が向いたら空を見上げよう。そして、懐かしの友を探すのだ。
#踊りませんか?
それは大きい満月の夜だった。
ふと思い立って夜の散歩をしてた時、君に出会った。
君は1人で踊っていた。
クルクルと楽しそうに回りながら踊っていた。
それがとても楽しそうに見えて、僕も踊ってみたいと思ったんだ。
そう思ったら何故かするりと口から「踊りませんか?」と声が出てて、自分が1番ビックリしたよ。
だけど、あの時声を掛けて本当に良かった。
だってあれが最愛の君との出会いだったんだから。
#巡り会えたら
友達が欲しい。
そう思い続けて、早数十年。
結局、上辺だけの関係の友達なら出来たけど、本当の意味で、友達と呼びたい人は居ない。
ただ、人生百年時代と呼ばれる昨今。
もしかしたら今後、親友と呼べるまでの人に巡り会えるかもしれない。
そうポジティブに考えると、ちょっとだけ、まだ未来は明るい。
いつか、本当の友達が出来ればいいなぁ。