#奇跡をもう一度
僕にとっての奇跡は君と出会えたこと。
猫みたいな君は、フラッと僕の前に現れて、そしてまたフラッと目の前から消えてしまった。
僕が縋り付く前に。
僕もここから立ち去ることが決まった。
いつかまたどこかで君に出会えないかな。
出来れば、君から僕の目の前に再び現れて欲しい。
もしもそれが叶ったら、きっとそれは奇跡で、運命なのかもしれないね。
#たそがれ
十五夜の夜、俺は煙草を吸いながら月を見ていた。
丸いまぁるいお月様。
月なんて、久しぶりに見たな。
普段は何か用事がない限り部屋から出ないで仕事をしてるから、空なんか一々気にしてなかったけど、こんなに綺麗だったんだな。
久しぶりに月を眺めながら吸った煙草は、随分と美味かったかもしれない。
#きっと明日も
ただ起きて、ご飯を食べて通勤して、仕事をする。
何も考えずに、そのルーティンだけをこなす日々。
これで良いのかな、一生このままなの?そう思いはするけれど、最終的にはまた普段の日常に戻る。
最近は転職サイトとかが豊富らしいけど、今の仕事を辞めてまで、やりたいことなんかないし出来る事も無い。
別に今の仕事が好きなわけじゃない。でも、本当に私がしたいこと、それは多分叶わないから今の仕事で妥協して、生活をする。
今の仕事を辞めたい、とは思うけど、またスーツを着て就活をするなんて嫌で嫌で堪らなくて、1歩を踏み出せない。
あぁ、きっと明日も仕事を辞めたいと言いながら仕事をする。それが私の日常。
#静寂に包まれた部屋
シンと静まり返った部屋の真ん中でポツンと立っていると、本当に1人になってしまったことを実感する。
あぁ、寂しいなぁ。
昨日までは君が居たのに、今日からは君の鼻歌が、物音が、生活音が聞こえないなんて。
なんて言えばいいんだろうか。
切ない、なぁ。
謝るから、君が満足するまで言うことを聞くから、帰ってきてくれ……。
#別れ際に
別れ際に君が残したサヨナラは、今でも俺の心を蝕んでいる。
本当は別れたくなかった。縋り付いて、君に愛を乞いたかった。
だけど、自分の爪の欠片すらも無いそれほどちっぽけなプライドがそれを許さなかった。
なぁ、どうすれば君は俺の元に戻ってきてくれる?
月を見上げながら呟いたその言葉は、そのまま空に溶けた。