#開けないLINE
君からの『さようなら』が最後の通知。
それを受け入れたくなくて、まだ君のLINEを開けないでいる。
さようなら、なんて言わないで欲しかった。
このLINEのせいで、僕は一生君のことを忘れられなくなってしまった。
愛してる、愛してた。
――君からの最期のLINE
#香水
ある時から君の香水の香りが変わった。
あれだけ柑橘系は苦手だと公言していたのに、いつの間にか柑橘系の香水を使い始めていたね。
気づいてたよ。言わなかっただけ。
きっと君はあの頃から浮気をしていたんだろうね。
ゆるさない
#言葉はいらない。ただ…
高校を卒業してから早5年。
高校時代に付き合っていた彼氏は、他県に大学に進学してお互い忙しくて自然消滅した。
だけど、私はまだ彼の事が好き。
今日は高校時代の同窓会。
幹事に彼が来ることは聞いていた。
だから、もしも彼に彼女がいないなら復縁したい。
そんな気持ちで行った同窓会。
彼と会った瞬間にわかったんだ。
言葉はいらない。ただ、無言で抱き締めてキスをした。
#突然の君の訪問
夏休みだからと家でグダグダしてた。
課題はとうの昔に終わったし、ゲームは飽きた。
友達を誘おうにも課題が終わっていないと断られてしまった。
あぁ、暇だ。
そう独りごちた時、ピンポーン。玄関のチャイムがなった。
誰だろうかと出てみるとそこにはもう暫く、最低でも夏休みが終わるまでは会えないだろうと思っていた気になっている人。
さっきまでグダグダしてたから、心の準備も、見た目も最悪だ。
何の用?
折角君が来てくれたのに、まともに相手もできる気がしない僕は、ぶっきらぼうに言葉を放ってしまった。声に出した瞬間、少しぶっきらぼうすぎたかもなんて思ったけど、既に後の祭り。
君は、綺麗な浴衣を着て、僕を夏祭りに誘いに来てくれたのに。
ごめん、迷惑だったよね。なんて、泣きそうな声と顔で言われてそのまま逃げるように走っていってしまった君。
あの時、追いかけいれば今君の隣で笑っていたのは僕だったかもしれないのに。
――そんな昔の小さな後悔のお話。
#雨に佇む
雨が降ってきた。
先程まではからりと晴れていたというのに。
ザァザァと雨が空から落ちてくる。
この音を聴いていると、この世に自分一人しか居ないのではないか、なんて馬鹿げた考えが頭を占める。
走って帰った方が速いかな。
僕は、買ったものを自分の服の中に隠して雨の中に飛び出した。