神埜

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#突然の君の訪問

夏休みだからと家でグダグダしてた。

課題はとうの昔に終わったし、ゲームは飽きた。
友達を誘おうにも課題が終わっていないと断られてしまった。

あぁ、暇だ。

そう独りごちた時、ピンポーン。玄関のチャイムがなった。

誰だろうかと出てみるとそこにはもう暫く、最低でも夏休みが終わるまでは会えないだろうと思っていた気になっている人。

さっきまでグダグダしてたから、心の準備も、見た目も最悪だ。

何の用?

折角君が来てくれたのに、まともに相手もできる気がしない僕は、ぶっきらぼうに言葉を放ってしまった。声に出した瞬間、少しぶっきらぼうすぎたかもなんて思ったけど、既に後の祭り。

君は、綺麗な浴衣を着て、僕を夏祭りに誘いに来てくれたのに。

ごめん、迷惑だったよね。なんて、泣きそうな声と顔で言われてそのまま逃げるように走っていってしまった君。

あの時、追いかけいれば今君の隣で笑っていたのは僕だったかもしれないのに。


――そんな昔の小さな後悔のお話。

8/28/2023, 1:41:23 PM