#嵐が来ようとも
嵐が来る。
とても大きな嵐が。
僕らの生活を壊そうと、遥か彼方からやってくる。
だけど僕は負けない。否、負けたくない。
僕らの生活は僕が守るんだ。
いくら嵐が来ようとも、きっときっと守るんだ。
だって、これからは君と僕ともう1人の生活が掛かっているんだから。
#お祭り
家の外でお囃子が聞こえる。
ガヤガヤと賑やかな人の声がする。
ドン、ドドンと花火の音がする。
窓を開けると、焼きそばかたこ焼きかソースの香りが漂ってきた。
窓から身を乗り出して、下を見やると浴衣や甚平、私服にスーツ。思い思いの格好をした人の波。
久しぶりに祭りの焼きそばが食べたくなってきた。
今から行けば間に合うだろうか。
僕はスマホと財布をポケットに詰め込んで、転がるように家を出た。
焼きそばが僕を待っている!
#神様が舞い降りてきて、こう言った
私だけじゃ、ダメなの?
他の友達と遊びに行くと言った時の彼女の言葉。
ごめんね、君だけが居れば充分。そう言って僕はすぐにほかの友達の連絡先も、友達と繋がっていたSNSも消した。
だって、君さえ居れば僕は幸せだから。
こんな冴えない男の彼女になってくれた君は僕にとっての女神なんだ。
#誰かのためになるならば
誰かのためになるならばと、自分の意見を押し殺してきたこと多数。
それで確かに感謝されたこともある。
だけど、なんで人って慣れると感謝出来なくなるんだろうね。
別に感謝されたい訳では無いけど、それはこっちが判断することで、そっちが勝手にもう感謝しなくていいや、じゃだめだと思うんだ。
もう、自分のために生きても良いかなぁ。
#鳥かご
私は飼われている。
大きな大きな鳥かごの中で飼われている。
誰にも見つからないように、ご主人様が私を囲う。
ここに来て既に半年程が過ぎた。
ここから飛んでいきたいけれど、ご主人様の目はかいくぐれない。
いつになったらお外へ行けるかな。いいえ、きっと私はお外へもう一生出られないのね。死んでも出られないわ。
だって、鳥かごの他に足首は鎖で繋がれて、片手首は手錠をはめられている。手錠のもう片方はご主人様が鳥かごから出る時はベットの上に繋げて、ご主人様が居る時はご主人様の手首に繋がっている。
これじゃあ何があっても離さない。そう言ってるようなものだもの。