お題:街
白い地面
橙の街灯
紺色の空
頬が痛い
叩かれた様だ
キザな服装の男が一人
橋の上でタバコを吸っている
街灯に照らされて
はっきりと見える
大粒の雪
どこかの店の扉が開いて、また開いて
呼び鈴が鳴る
路地裏には切なさや寂しさが溜まっている
ここは、ある都会の夜の冬の街
騒がしい都会の冬の街
お題:失恋
山荷葉が枯れてしまった
君は歩いて行く
僕には構わず
先に歩いて行く
君が小さくなっていく
月下美人が僕に咲いた
月の光に照らされて
切なくも美しい
君を引き留めようか
考えている間にも君は遠くへ歩いて行く
金盞花を君に贈ろうか
それで良い、それで良い
月が僕の方に向いた
僕は君の歪なところも好きだけど
君はそうじゃなかったようだ
君は月が嫌いなのか
お題:ただ、必死に走る私。何かから逃げる様に。
朝四時になった
外へ出よう
一人で遠くへ行こう
家族や友人には内緒で
黙って行くんだ
何処へ行くかはわからない
とにかく遠くへ走って行く
親にも秘密で走っている
バレたらどう言おうか
きっと怒られるんだろうな
せめて六時になったら帰ろうか
しかしここまで来た
もう戻らない
学校にも家にも行かないで
遠くへ行こう
息を切らして走っている
空は曙色に染まっていく
川の色も同時に染まっていく
日の光で輝いている
ああ、疲れてしまった
丘で寝そべって空を眺める
雲の動きを意味もなくただ眺めている
眠たくなってきた
寝てしまおうか。それが良い
ああ、今までで一番幸せだ。
なんて私は幸せ者で、贅沢な奴なんだろう
さあ、目を閉じようか
お題:「ごめんね」
また夜が明けてしまった
貴重で大切な夜が
欠けた月は私に微笑み
白く光る日は私を睨む
しかしどうにもならないのだから
仕方なく布団から出て
普通であるためにしなければいけないことを
また今日もしている
外に出て空を見ると
日の光が私の目を突き刺す
こんな下らないことを
いつまで続けているつもりだ?
もう帰る頃には
既に日は沈みかけていて
私の心も
もう既に海深くへ沈んでしまった
こんな馬鹿らしいことは
そろそろ辞めにしてしまおうか
お題:天国と地獄
泥の中でもがく
綺麗な蓮の生えている
泥の中で必死に。
しかし足掻いても沈んでいく
仏は微笑んでいる
ああ、俺はそれだけの人間なのか
海で苦しむ
白い砂と澄んだ水の
美しい海で溺れている
肺の中に海水が入って
段々手足が動かなくなり
目の前が白から黒になったら
後はもう沈みゆくだけ
高い崖から落ちてゆく
頭から落ちてゆく
とても速い。
かなり高い崖だからか
まだ地に着かない
しかしこんなに長いと
全身が痛み、苦しむだろうと
想像して怖くなってしまう。
俺はそれだけの人間なのさ