お題:月に願いを
あの神秘的な満月へ
手を合わせている
灰色の雲の間から
そっと覗いて
暗い道を照らしてから
またそっと隠れる
狐の歩いた獣道を
ただじっと見つめている
森の奥から聞こえてくる狼の遠吠えを
ただ静かに聞いている
暗い空に浮かぶ月を
ただずっと見つめている
自分の力ではどうもできないから
叶えたいことが叶わないから
ただ何も言わない月を
静かに唸る様に
ただ見つめている
お題:逃れられない呪縛
この呪縛を解く方法はない
しかし無いわけではない。
簡単な方法ではない
複雑で、失敗しても、後には戻れない
やってみたいならばやればいい。
みんな、生まれてきた時から
呪われてるのさ。
ああ、可哀想に、可哀想に、、、、、、
鏡に向かって叫んでみろ!
お前は誰だと!
きっと呪いが解かれても
また新しい呪いに苦しめられる。
耳鳴りがしてきたならば
その音に耳を澄ませればいい。
頭痛がした時のチカチカに
焦点を当ててみればいい。
頭をおかしくせたいならば
さっさとおかしくさせていればいい
最後は深い池に沈んで
湖月を飲み干した後、
星の透ける水面の
うようよとした波紋を
ただ、ただ見つめていればいい、、、、、、
お題:突然の別れ
眠くなって朝まで寝ました
貴女も昨日の深夜に寝ました
私は起きて朝の光を浴びました
霜柱は日があたりきらきらと
軒氷柱からは水がぽたぽたと
皆の座ってる畳の上にも、ぽたぽたと、、、、、、
しかし貴女は起きてこない
何度ゆすってもなにもない
ただ穏やかに寝ているのです
お昼になりました
私は汁とご飯なんかを食べました
お腹がなって、皆が昼になったことに
さっき気づいたばっかりです
しかし貴女は白米に手をつけない
困ったものですね、本当に
ああ本当に
水くらい、飲んだって良いじゃ、ないですか
このまんまでは、灰色の、煙に、なっちゃいますよ
貴女が運ばれていきました
綺麗な衣に身を包んで
綺麗なお花に囲まれて
貴女は空に溶けていきました
灰色の虚しいものになって、、、、、、
お題:真夜中
真夜中に町を一人で歩く
誰もいない静かな町を
耳に入ってくる音は
自分の足音、それと自分の呼吸
あとは虫の声
霧雨に濡れた石ころと草が
月明に当たりひかめいてある
空気は澄んでいて程よく冷たく
息をするのが心地よい
息がし辛い朝からなんか
この真夜中に逃げてしまおう
楽なこの深夜にずっといるのさ
お題:風に身を任せ
風が葉を戦がしている
青くなり始めた桜の葉を
蜘蛛は空へと掬い上げられる
透明な糸は日にあたり
銀色に輝いている
雲も風に動かされている
散ってしまって舞っている桜の花びらと
飛ばされていく蜘蛛の子のことを
共に飛ばされながら見守っている
あそこの青い山の中でも
同じことがおこっているだろう
ゆらりゆらり心地が良い
口笛吹かない春の頬を撫でる風は
暖かくのんびりとして心地よい