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9/24/2025, 1:35:18 PM

 「時計の針が重なる」と聞くと、子どもの頃に読んだ絵本の影響だろうか、大人が10人がかりで運ぶような大きな大きな時計が自然と思い浮かぶ。
 スペードのようなかたちの金色の針に、同じく金色のローマ数字。指している時間は勿論、夜の12時。

 そういえば、昔、似たような時計が祖父母の家にあった。
 大人が一人で抱えられる程度の大きさではあったが、ネジを回すと、くるくると金色の男女3組がお互いに向き合って回り出すという点で、絵本の中の時計よりも輝いて見えた。
 応接間にあったその時計は、壊れたらいけないからと言って、幼かった私にはほとんど触らせてくれなかったのを覚えている。

 あの時計も今はどこかで塵と化しているのかと思うと、なんとなく、寂しくなる。



「時計の針が重なって」

9/1/2023, 1:59:27 PM

ブブッ
マナーモードに設定していたスマホが、存在を主張するかのように立て続けに振動した。

うるさい

早朝にスタ連してくる友達のLINEのトーク画面。
起きたら負けだ。ましてや、既読をつけようものならば、きっと調子に乗ったアイツは明日もスタ連してくるだろう。

スマホの電源を切って、布団に潜り、再び睡魔に身を委ねた。



ーーこうして私はいつも遅刻スレスレになる。




「開けないLINE」