遠くの街へ
さぁ、せっかくの休日、何をしようか。待て、その前にシャツをクリーニングに出しに行かないと、夕食の買い物に、部屋の片付け。やるべきことはたくさんある。でもそれはいっか、今日のことは全部未来の自分に任せて、どこか遠くの街へ出かけよう。お気に入りのワンピースにスニーカーを履いて、一人旅へ。
現実逃避
「早く正社員の仕事を見つけなよ」
たまに、姉に仕事の話をすると必ずこう言われる。そう正しいことを言われるからたまになのだ。
わかってるよ、私も正社員になったことがあるからわかる。正社員の方が給料もちゃんともらえるし、ボーナスもあったり、社割があったり、いろいろな面でメリットがあって、世間から見てちゃんとしていると思われるのは正社員だってわかってる。でも、一日中ごろごろしたり、何本も映画を見たり、そんな現実逃避みたいなことをしたいんだよ。アルバイト生活だから金銭面で少し辛いけど、今、すっごく楽しいんだ。だから正社員の生活はもうちょっと待って。現実逃避できるのは今のうちだから、たくさんしておかなきゃ。
君は今
君は今なにしてるの?
君は今どこにいるの?
君は今なにを考えてるの?
君は今どんなことに興味があるの?
君は今どんな音楽を聴いてるの?
君は今
誰を想ってるの?
私は今君を想ってる。
君は今、私のことを考えているかな、
もっと知りたい、君のこと
物憂げな空
窓の外は暗くて、横殴りの雨が窓を打ちつける。梅雨の時期でも、台風が近づいているわけでもないのに、なんだ、この大雨は。外が荒れていると私の心まで荒れるみたいだ。物憂げな気持ちよ、雨風と一緒に吹き飛んでしまえ。
小さな命
私は小さい頃、家でメダカを飼っていた。
普通の水槽とは別の水槽に水草だけを入れていたから、なんだろうと思っていたが、その数ヶ月後に水槽を覗くと、米粒よりもさらに小さいメダカがたくさん産まれていた。自分が産んだわけでもないのに、とても愛おしかった。話したり遊んだりすることは当然できないが、大きく成長していくたびに「大きくなったね、いっぱいエサを食べるんだよ」と話しかけていたのを思い出した。とても可愛くて、愛おしくて小さな命だった。