泣いている君に手を差し伸べた。
「僕と一緒に遊ぼうよ」
そんな深い意味はなかった。ただ、泣いていてかわいそうだと思った。つまらないんだと思った。だから、楽しく遊びたいと思った。ただそれだけ……。
僕は今、あの頃の僕を止めたくてしょうがない。
中途半端な優しさは良くないって、あの頃の僕は知らなかった。
そして僕は今日も君の影に怯えながら過ごしている。
『僕と一緒に』
ようやく空気が秋めいてきて、風も涼しくなってきた。曇りになると少し寒い。
今日は晴れてくれても良かったのにと、空を見上げる。
まぁでも暑いよりはいいかと、二人で歩き出した。
それに、少し寒い方が、君の温かい手を繋ぎやすいしね。
『cloudy』
私は、あの世とこの世を繋ぐ、虹の架け橋を作る職人。
人口も増えたことで、虹の架け橋の出番も増えた。なので、現在増設中だ。
「○丁目の橋が古くて崩れかけているそうです」
壊れた橋の修復も仕事の一つだ。
みんなが安心安全にあの世に渡る。その為に、今日も働く。
「そら、直ったよ」
橋を直して、待っていた子供に先へ進むよう促す。
こんなところで、子供を見るのは、あまり好きではない。でも、せめて次はもっと長く幸せになれるようにと、そんな気持ちで橋を渡らせる。
「おじさん、ありがとー」
みんなが笑顔で逝ってくれたら、それだけで救われる。
私は今日も働き続ける。
『虹の架け橋🌈』
『今何してる?』
『こっちはようやく少しずつ涼しくなってきたよ』
『そっちはどう?』
もう二度と既読がつかないことをわかっていて、それでも送ってしまう。
『会いたい』
その一言を入力しては、すぐ消す。
こんなこと送ったら怒られてしまいそうだし。
既読がつかなくても、この気持ちが届いていればいいな。
『君が幸せでありますように』
『既読がつかないメッセージ』
『秋』という題材で絵を描くよう課題を出された。
面倒だった俺は、赤やオレンジ、茶色を混ぜた絵の具でキャンバス一面を塗りたくった。
なせが表現が素晴らしいと褒められた。勝手に絵の解釈をされ、天才だと囃し立てられた。
芸術ってわかんねーと俺は思っていた。
『秋色』