勉強机の引き出しを開けて、狸型をしたロボットが顔を覗かせた。
「ハーイ、ジョージィ!」
「ペニー○イズじゃねーか! ド○えもんじゃねーのかよ!」
ロボットが風船を持って出てくる。
「僕は君を恐ろしい運命から救いに来た」
「いやどう聞いてもむしろ恐ろしい運命にする側だったけど!?」
「僕は未来の世界の者だ」
突然現れたドラ○もんなんだかペニーワ○ズなんだかわからない狸型のロボットらしき者が、そんな突拍子もないことを言い出す。
「なるほど? じゃあ手始めにどこでも○アを出してくれ」
そうお願いすると、そいつはポケットから見覚えのあるピンク色のドアを出した。本物なのか。
行きたい場所を思い浮かべ、わくわくしながらドアを開ける。
しかし、ドアの先は変わらず僕の部屋。くぐり抜けても僕の部屋。
「……どこにも行けないけど?」
「どこでも(置くことができる)ドアだけど?」
「つまりドア型オブジェじゃねーか! じゃあタケコ○ターだ! タケコプ○ーを出してくれ!」
勢い良くドアを閉める。
ロボットはドアを仕舞うと、今度はたくさんのプロペラがついた、なんだかゴテゴテした物を取り出した。
「何これ」
「竹でできたドローン的な物」
「プロペラ多くない? それに人間つけて飛べるの?」
「それくらいプロペラがないと重い物は運べないよ。人間をつけて飛べなくもないけど、頭皮が剥がれる可能性がある」
「恐ろし過ぎるだろ!」
結局、どの道具も使えたもんじゃない。僕は呆れてしまった。
「未来から来たんじゃないのかよ」
「未来に期待し過ぎじゃない?」
ロボットは言った。
……たしかにそうかもしれない。いや、でも、しかし。
「じゃあ僕がもっとすごいもん開発してやるよ!」
「おー頑張れ〜」
こうして僕は発明家を目指し、たくさんの道具を作ることになったのだった。
これがきっかけで、こんな未来が待っていることになるなんて、このロボットが来てくれたことは(使い物にならなかったけど)幸運だったのかもしれない。
ちなみに、ロボットはそのまま居候になった。
「帰れ!」
『未来』
今から約1年前、この『書く習慣』アプリを始めた。
元々趣味で物語を書いていたが、忙しさに追われて最近はめっきり書くことも減っていた。随分昔に始めた個人サイトなるものも、今や倉庫と化している。いや、今でもたまにはちゃんとアップしているが……。
このままで良いわけがない。私は自分の世界を終わらせたくない。物語を少しでもいいから書きたい。
そんな時にこのアプリを見かけ、始めた。毎日お題が出て、それに沿った文章を書くというものだ。
とにかく1年。せめて1ヶ月だけでもいいから休まず続けたい。
そんな目標を掲げ、投稿を始めた。
気軽なもので、誰かと繋がる必要もない。ひっそりとお気に入りに入れて、好きだと感じたお話に♡を飛ばす。簡単に応援ができる。このシンプルな構造も良かった。お題にあわせて考えた物語を、名前も知らない誰かが純粋な気持ちで♡を飛ばしてくれる。嬉しかった。ありがたかった。
こうやっていろんな人に♡を貰って、モチベーションを維持できた。毎日毎日書き続けた。たまに思い浮かばない日もあったけど、誰かの物語に刺激を受け、自分もと、なんとか物語を書き上げた。
そうして1年近く、ほとんど休まずに続けてきた(つい先日も書き忘れて2日分一気に書いたけど……)。お題は基本366個、つまり1年分あるらしく、もうすぐお題が1周する。あと半月ほどだ。
そこで、たぶん、自分の更新は終わる。同じお題で書き続けるのもつまらないし、最初の目標を一応達成できれば充分だから。少し寂しい気持ちはあるけど。
その後はどうしようか。サイトの更新に戻るのが1番だけど、毎日はさすがに厳しいしな。でもまた何か新しく続けたい気はする。
もしかしたら、別のお題が出る場所で、新しく投稿を始めるのかもしれない。
もしそうなって、そこでもう1度見かけたとしたら、また、是非よろしくお願いします。その前に、あと少しの間も、よろしくお願いします。
『1年前』
雨が降りそうで降らない。
泣きたくても泣けない。
どんよりと曇った空は、私の心を現しているようだった。
『あいまいな空』
泣きたい。
二回目である。こうやって、投稿を忘れてしまったのは。
でも、一回お題は見ていたのだ。その時思い浮かばす、後回しにしてしまったのが良くなかった。忙しくてそのまま忘れてしまった。
後回しにするのは良くない。
思い浮かばなかったら本を読もう。好きな本を読むと、わくわくする。本の世界の情景が、色鮮やかに浮かんでくる。影響されて、自分も書きたくなる。頭に文章が浮かんでくる。
そうしてまた次から、忘れずに自分も書こう。自分なりの物語を。
『好きな本』
じめじめどんよりした日々の中で、その色だけが綺麗に輝いていた。
「その色、綺麗だね」と言ったら、君は嬉しそうに「でしょー?」と言った。
髪を青紫に染めていた。どうやら、あじさいをイメージしたらしい。
暗い雨の中でも美しく咲く花。君にぴったりだね。
でも、何色でも綺麗だって思ってしまうんだけどね。
『あじさい』
やだやだ! ピーマン嫌い! だから食べない! ゴミ箱に捨てるんだ!
勉強も嫌い! 算数のドリルなんかぐちゃぐちゃにして、これもポイ!
やだ! このおもちゃ飽きた! ゲーム買って! やだやだ! こんなおもちゃ壊してやる!
お願い聞いてくれないママなんて嫌い! いなくなっちゃえ!
…………ママがいない。どこ行ったの!
やだ。ママがいなくなっちゃやだ! もうわがまま言わないから!
涙が止まらないよ。
「どうしたの? 買い物行ってただけよ」
ドアが開いて、ママが帰ってきた。良かった〜。
やっぱりママのこと、大好きだよ!
『好き嫌い』