川柳えむ

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1/3/2024, 7:21:51 AM

 新年一発目の部活動。
 漫画研究部の部員は部室に集まって会議をしていた。

「今日の会議のテーマは『今年の抱負』だ!」

 部長が黒板の前に立ち、力強く言った。

「すごい。今日の会議はまともだね」
「おいおい。それじゃあ普段の活動がまともじゃないみたいじゃないか」

 後輩の言葉に先輩がツッコむ。

(いやその通りなんだけど……)

 漫画研究部なのに、普段の先輩達は漫画を読むだけだったり(研究していると言われてしまえばそれまでだが)、いちゃいちゃしたり(全員男である。ちなみに正確に言えばなぜか部長が先輩達に好かれ過ぎているだけである)、好きなタイミングで勝手に帰ってしまったりと、やりたい放題である。
 いろいろ言いたいが、その言葉を飲み込み、後輩は部長に尋ねる。

「それで、部活の今年の抱負を決めるわけですね? たとえば、全員一作品は何かの賞に応募するとか!」
「そうだなぁ。まずは全体の抱負を決める前に、個人の抱負を聞きたい」

 そう言うと、部長は先輩のうちの一人を指した。

「今年の抱負、何か考えてるか?」
「もちろん! 今年の抱負は、去年の倍は踏んでもらうこと!」
「はっ!?」

 そう。部長は好かれ過ぎている。しかも、変な方向に。
 この先輩が部長に踏まれるのも、恐ろしいことに見慣れた光景なのである。そして、その回数を増やしたいとドMっぷりを発揮しているのも見慣れたものなのである。

「そうか。じゃあ次の奴!」
「部長はそれでいいんですか!?」

 今度こそ後輩がツッコんでしまうが、何事もなかったかのように会議は進んでいく。

「今年は部長に認知してもらいます!」
「間違いなくもう認知されてますよ!」
「いや誰だっけ?」
「あれだけ一緒にいてそんなことあります!? ていうか漫画のことは!?」
「部長!」
「部長!!」

 そんないつもと変わらぬ感じで流れていき……。

「で、後輩の今年の抱負は?」

 そう振られた彼は、こう返した。

「…………もういっそ部長と先輩達のことを漫画にして賞に出してやります!」

「おーっ!」と歓声が上がる。
 そして、その漫画は無事に応募され、賞を取り、連載を取ったとか取ってないとか。


『今年の抱負』

1/1/2024, 3:06:09 PM

「あけましておめでとう」
 日付が変わった瞬間、あちこちで同じ挨拶が交わされる。一年のうち今日しか使わない(こともないけど)挨拶だ。
 そのまま夜更かしをして、朝日が覗く瞬間を拝む。初日の出。一年のうち今日しか見られない。
 おせちを食べて、お雑煮を食べて。こんな料理も今のうち。
 いつもと少し違う一日を過ごして、本当に年が明けたんだ。今がお正月なんだと実感する。
 そんなこんなで、新年が始まった。
「今年もよろしくお願いします」


『新年』

12/31/2023, 2:03:21 PM

 正直まだ新年を迎える準備なんてできていない。
 ごめんなさい。年賀状すらできてない。かなりやばい。
 大掃除だってまだ途中で……。
 今年暖かかったせいか、まだ感覚が一ヶ月くらいずれてるんです。
 でも時間は待ってくれない。
 年末の特別番組が始まっている。もう年越しそばも食べちゃった。
 終わる。今年が終わる。
 あぁーあと一時間もない……。
 観念して言っておくか。
「良いお年を!」


『良いお年を』

12/30/2023, 11:08:35 PM

 夏まで何をしていたのかはよく覚えていない。
 夏、このアプリを始めた。
 みんなに♡を貰った。
 みんなの投稿を読んだ。
 面白い作品に楽しい気持ちと悔しい気持ちが混ざり合った。
 たくさんのいろんな面白い作品が書きたいと思った。
 だからとにかく毎日投稿を続けてみようと頑張った。
 ちゃんと休まず続けてこられた。
 スマホが壊れた。
 引き継ぎ設定をしていなかったからアカウントが使えなくなった。
 泣いた。
 だからといって書くことを諦めたくはなかった。
 もう一度作り直した。
 また1から始めてみた。
 みんなに♡を貰った。
 毎日毎日頑張った。
 これからも頑張る。
 いつも読んでくれてありがとうございます。
 来年もよろしくお願いします。
 良いお年を!


『1年間を振り返る』

12/30/2023, 5:55:06 AM

 こたつに入り、みかんを剥く。
 向かいでは彼女がみかんを横一列に並べている。
「何やってるの」
 そう尋ねると、彼女はにやりと笑った。
「問題。みかんを並び替えてできる甘いものって何でしょう?」
「……甘味?」
「正解!」
「甘いものが食べたいの?」
「正解! 甘味処とか、行きたいな~」
「甘味処って、本当はあまみどころって読むんだよ」
「えっ!? 知らなかった!」
「じゃあ甘いもの食べますかー」
 こたつから立ち上がり、剥いたみかんを彼女の口に突っ込んだ。
「このみかん甘い!」
 今度はこちらから彼女に問いかける。
「問題。みかんを並び替えてできる家って何でしょう?」
「……民家?」
「正解! 甘味処じゃなくて、民家――家であんみつとかどうですか? 作るよ」
「あんみつ! 食べるー!」
 みかんを手に持って、彼女は嬉しそうに飛び上がった。


『みかん』

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