「シーターーー!」
「パズーーーー!」
ラピュタのあのシーンで、
手が届かなかったらどうなってたんだろう?
「海に捨ててーー!」
バキューーーン!
…
…思うに、ラピュタは何度も手を差しのべる映画だ。
手を差しのべて、手が届いたことをくり返して、
想いが届いて、深まる二人の絆、
みたいなものを表現しているんだろう。
つないだ手と手。
人間の脳がここまで発達したのは、
手を使うようになってからだという。
思いを伝えるとき、
とっさに手を差し出すのは、
もっとも人間らしい行動なのかもしれない。
届いてよかった。
届かない......
おわり
「ここに二枚の絵があります。」
「どちらの絵がより好きですか?
ピンと来たほうを教えてください。」
占い師の後ろには二枚の絵が飾られていた。
一枚目は、絵の左側に木漏れ日が差し込んでいる絵。
もう一枚は、絵の右側に木漏れ日が差し込んでいる絵。
私は直感で左側に木漏れ日が差し込んでいる絵を選んだ。
「左側ですね。あなたは直感派です。そして、左利きですね。」
当たっていた。
私は左利きで、あれこれ考えるよりも
直感で物事を決めてしまうタイプだった。
「なんでわかるんですか?」
私は占い師に聞いた。
「不思議なんですが、みなさん利き手側に木漏れ日がある絵を
選びがちなんですよ。」
「おそらく利き手側に安心感を感じやすいという、
心理的なものだと思います。」
占い師は続けた。
「あなたの運命の人は、
『左側に木漏れ日が差し込んでいるような人』でしょう。」
なんやねん、それ。
木漏れ
日
おわり
「次に目が合ったら告白しよう。」
少年はそう考えていた。
少女は目を反らした。
少年は目を伏せた。
少年は諦めた。
「次に目が合ったら告白しよう。」
少女はそう考えていた。
少年は目を伏せた。
少女は諦めた。
すれ
違う
瞳
完劇
青い男と
青い女
二人はまだ
青かった
店頭に並んだ
熟れる前の二本のバナナのような
未熟だった
未完だった
でもね、
青も塗り重ねれば
限りなく黒に近くなる
黒に染まる
だからいまは、
青いままでいい
青のままがいい
いつか青くなくなる
その日まで
青い 終
い 劇
甘い記憶?
苦い過去?
そういうのは全部自分が引き連れてくるもんだ。
自分の中になければ、それはない。
誰かを嫌だと思ったり、あいつ嫌いと思ったりすることもない。
それらはすべて自分の意識が投影させて見せている現実さ。
君の中になければ、現実にも投影されない。
君が悟りの境地に達すれば、
この世は永遠の無常のパラダイスさ。
さぁ、好きにやれよ。
好きに生きれよ。
小さいことは気にするな。
いや、いずれ気にならなくなる。
大丈夫。
おまえはもっと大きい。
おまえの魂を解放してやれ。
sweet
memories
完