いっぱい食べるあなた、たくさん本を読むあなた、めいっぱいスポーツを楽しむあなた、楽しそうな笑顔で絵を書くあなた、あなたの全てに私は心を奪われた。
明日、もし晴れたら思い出の場所へ行こう。
共に笑って、泣いて、怒って、焦って、全力で楽しんだあの場所へ。
俺が正直に伝えられずにいるこの想い、一体いつになったら君に吐き出せるのだろうか。
触れたいな カラフル輝く 君の目に
君と出会ったのはいつだっただろう。
僕たちはすぐに意気投合し、友達となった。
そして、大きな大きな友情を育んだ。
同じ趣味で共に楽しみ、笑いあったことで君と出会うまで何も無かった色褪せた僕の日常にはいつの間にか色がついていた。
僕は信じていた。これからもそんな色褪せない素敵な日常が続いていくと。
だが、それは僕のくだらない勘違いだったらしい。
ある日の放課後だった。
教室に忘れ物をしてしまい、それを取りにいった時のことだった。
僕は教室目掛けて小走りで向かった。
階段も登ったりしたせいで少し息切れを起こした状態で僕は教室に入ろうとした。
その瞬間だった。
「なぁなぁ、お前ってさなんでいつもあいつと一緒にいんの?」
「あぁ、それね。まぁただの評価点稼ぎの為かな。」
「あ、やっぱそうなのか。いやー、前から学年中で噂になってからさー。」
「普通そうでしょ、じゃなきゃ一緒にいないってあんな奴。」
僕は聞いてしまった。
友達の本音を。
「あんな奴」。その一言が耳に入った瞬間、僕は校舎の外を目掛けて走り出した。というより、周りのことには目もくれず走った。ひたすら走り続けた。
もしかしたら、途中で廊下を渡っていた先生に怒られていたかもしれない。
だが、そんなことは今の僕にとってはどうでもよかった。
唯一の友に裏切られたのだ。
裏切られたと言っても当の本人はそんなつもりは全く無かったのだろうが。
僕は涙を流さなかった。というより流す暇もなく、心が崩れ落ちた。
僕と彼が共に暮らした日々は一体なんだったのだろうか?
そんなことを考える日々がしばらく続いた。
彼は次の日には僕にいつもの態度で接してきた。
僕はそんな彼に面と向かって話すことができなくなっていた。
それは日に日に悪化していき、ついには彼とは一言も話さなくなった。
………たとえ、僕の選択が間違いだったとしても彼を責める気にはなれなかった。
何故なら、彼と暮らした日常に僕は救われたのだから。