『おとなになつて』
スーツを着て、革靴をはく
玄関を出る前にボクは今日も大人に成る
いつだって手鏡を忘れずに
ボールをぶつけられたときは
直ぐに確認して、顔を整える
気がついたら、
目に移植している。
自由に笑って泣いて、怒って
子供がそうできるのはお金とは無関係の特権
いつだって秤を忘れずに
棒でつつかれたときには
思ったことと、報酬をかける
気がついたら、
暗算できるようになっている。
社会はまるで高等のごっこ遊び
我ままをお出ししては興ざめさ
それに疲れた人達をたまにみかける。
ボクは今日も見えないところで
自由に笑って泣いて、怒って
お金と一時的に無関係になれば、
スーツを脱ぐ。
きちんと寝ては、明日に備える子役。
『何もかも失う。』
「もう誰も失いたくない」という台詞を横目に、
目の前の君の死が見え透いている。
むしろ「失いたくない」と言っている場合じゃない。今日もただ愛し愛されることしか出来ないし。
出かけては良さげなところをチェックして
君の命日に予約しておくのさ。
『あなたでいい証明』
例えば、周りより劣っていて、ドジっぽくて、
有能じゃない自分の存在に気づいたとして。
完璧じゃない人の方が
可愛げがあるって言うじゃないか。
例えば、少しの事ですごく落ち込んで、
感情は常に忙しなく働いている。
それをオブラートに包めば、
愚痴は人と手を繋ぐきっかけになるだろう。
あなたはあなたのことを「不完全だ」と言うが、
人はみんな不完全 故に完璧だと思うのです。
支え合うことは穴埋めにほかならぬ、
あなたに役に立ちたいという本能がある様に
きっとそこは誰かに愛されるべき窪みなのです。
だから今日は、安心して寝てもいいのです。
対峙すべき挽回は元気な時に考えましょう、
もう頑張ったあなたはおやすみなさい。
『死合わせ』
理想の死に場所を求め、今日も生命を使う。
ぼんやりとした理想の死に方への拘り、
其れが咄嗟の命乞いに繋がるのです。
君の笑顔や、仲睦まじい友達がいること、
理想の死に方に近づくにつれやっとこさ
僕たちは「幸せだ」というのかもしれない。