こんな人生
もう嫌だ!
全員殺してやる!
そう言った男の身体には
大量のダイナマイトが括り付けられていた。
大都会のど真ん中
騒然とする人々
蒼然とした顔になる警察達
死にたくないと逃げ惑うお金持ち
死ねるチャンスでは?と期待する人達
マスコミは恐怖よりも好奇心に駆られている
現場にいないアナウンサーの焦る顔
そして、ついに男はダイナマイトに火を付ける!
あぁ!終わりだぁ!!
と、思ったが一瞬のような出来事は
何事もなかったように一瞬で終わった。
男は何とも言えぬ顔で
ただ、呆然とその場に立ち尽くしていたのだった。
タイトル:通り雨
夜になると
ここの地域は電灯がほとんど無いせいで
暗闇に包まれる。
特に見入れるほどの夜景がある訳ではないが
今日の夜景は一段と綺麗に感じた。
赤やオレンジが空に届きそうなほど
大きく広がりを魅せ
辺りに無数の欠片を残していく。
いつも静かなここも
今日は祭りのように沢山の声が響き続ける。
地域では珍しいパトカーや消防車
それを取り上げる記者やテレビ局
やけに若者も多く見えた
そして
僕はただそれを
写真に収めておきたい思った。
タイトル:夜景
青い海!
白い砂浜!
ついに来たぞー!
ホントに綺麗だなぁ
ここなら、きっとあいつも喜んでくれる!
お!あったぁ!
この貝殻いいなぁ
よし、ここの隣に……うん!似合ってる!
これでおっけー
次は、あの子も連れてこよっと。
久々に海に来たな
昔は、よくここへ来てたっけ
貝殻とかめっちゃ集めて、母さんに怒られたなぁ
「おーい!〇〇もこっち来いよー」
友達が僕の名前を呼ぶ。
せっかくだし、面白い貝殻でも持っていってやるか
ふと、近くに沢山貝殻があるところを見つけた。
…?
貝殻か?これ?
白い塊が所々に落ちている。
形は、バラバラで大きい物から複雑な形まで。
妙に見たことのあるようなそれに
少しずつ鳥肌が立っていく。
そこにある砂を少し掘ると
ようやく、それが何か分かった。
思わず、悲鳴が上がり腰が抜ける。
それと同時に
すぐに僕は、警察に電話した。
タイトル:貝殻
足りない、パーツは、なんだろう
生きる為の心臓
考える為の脳
物を持つ為の手
歩く為の足
機能を果たす為の他の臓器
笑う為の顔
他にも色々付け足して…
足りない物はあるかな
よし、多分大丈夫だよな
人間になる為の検査室に向かった。
結果は
『不合格』
………?なんでだろう
あの、僕に足りない物は何だったんですか?
あぁ、君ね
確かに惜しかった。
ただ、一つだけ足りない物がある。
それはね、心だよ
タイトル:不完全な僕
そうだ
上手くいかなくたっていい
どんなに周りから冷たい目で見られても
どんなに周りから同情されても
どんなに周りから恐がられても
僕にとってあの事が成功さえすれば
どうだったいいんだ
最悪、自分が死んだって構わない
捕まったって構わない
あいつさえ、、、
あいつさえ、殺せればなんだっていい
上手く殺そうとしなくていいんだ
そう、だってあいつが死んでしまえば
それでいい
たったそれだけじゃないか
タイトル:上手くいかなくたっていい