【秋恋】
「秋恋だなんて言わないで、いつでも恋しようぜ」
クラスメイトたちは恋に命をかけている。
恋だけが、僕たちの生きる価値だから。
「そうは言ってもなぁ」
少子高齢化が進んだ現代。
結婚をしない人間に社会は厳しくなっている。
恋とか結婚とか、どうでもいい。
だって、俺はお前が。
【愛する、それ故に】
愛する、それ故に君の全てを知りたいんだ。
趣味も好物も性癖も思考も。
全て知りたいだ。
え、気持ち悪い?
なるほど、君はこういうことが嫌いか。
大丈夫、どんどん教えてくれ。
君の理想になってみせるから。
【静寂の中心で】
静寂の中心で、君は何を想う?
車の音も信号機の音も人の生きている音も。
それどころか。
鳥の声も木々のざわめく音さえもない世界で。
君はいったい何を想う?
私を。
いや、私たちを殺して。
君はいったい。
「うるさいなぁ」
君は言うと、見えないはずなのに私を見た。
「大丈夫だよ、地球は僕らが有効的に使うから」
宇宙人の君はそう言って、笑った。
【燃える葉】
「真っ赤だね、まるで燃えてるみたい」
「燃える葉? 山火事ということですか?」
「……そういうことじゃなくて」
ロボットとの会話は難しい。
なにを考えているのかさっぱりわからない。
なんで葉を燃えてるみたいと言ったのか。
なんで山火事ということではないのか。
「紅葉っていいよね」
ロボットの彼女は言う。
人間の私には紅葉のよさがちっともわからない。
自然現象にどうしてそこまで思いを馳せるのか。
今日も私はロボットとともに。
【moonlight】
moonlight。
月明かりのこと。
moonwalk。
月面歩行のこと。
moonbeam。
月の光のこと。
「そんなに月のことばかり調べてどうしたの?」
後ろから声が聞こえた。
振り向くと図書館の先生がこちらを見ていた。
「気になったから」
「気になる?」
「うん、月ってものがどんなものか」
だって、この世界に月はないから。