【Midnight Blue】
Midnight Blue。
黒板に並んだ文字を見ながら首を傾げる。
調べてみると黒に近い青色のことらしい。
「なんでnight、夜なんて入ってるんだろう?」
夜なんて暗くないのに。
幽霊のあたしにとって
夜なんて、暗くないのに。
【きっと忘れない】
「きっと忘れない」
そう君は言ってくれたけど、信じていない。
だって、絶対に、とかならわかるけど。
きっとって。
まあ、仕方がないよね。
むしろ期待させないだけ、マシかもね。
きっと、忘れないでね。
ここに、小さな神社にいた。
神様のことを。
【なぜ泣くの?と聞かれたから】
お母さんの知り合いだと言われたから。
わたしは車に乗り込んだ。
助けを求めたら命はないと言われたから。
わたしは静かにしていた。
ここにいろと言われたから。
わたしはその場に座っていた。
なぜ泣くの?と聞かれたから。
わたしは可哀想だと言ってあげた。
だって知らないから。
この街の、人喰い狼のこと。
お母さんも悪い人だよね。
食糧のために悪い人をわたしの前に出すんだもの。
さてと。
いただきます。
【!マークじゃ足りない感情】
「ぎゃっ!!」
うーん。
「ぎゃあああ!」
うーん。
「ぎゃあああああ!!」
うーん。
「だめ?」
ダメじゃないけど、なんというか。
感情表現はもっと複雑じゃないと。
!マークじゃ足りない感情があるというか。
「まあ、練習すればいけるっしょ」
だな。
ゾンビによるゾンビのための演劇。
まだまだ公演には程遠い。
【君が見た景色】
なるほど。
これが、君が見た景色か。
ようやく同じところに来れたみたいだ。
確かにこれじゃあ、逃げ出したくもなる。
上司は態度で仕事を急かし、
同期は笑みで仕事を押し付ける。
終わってるっていう表現が正しいね。
そして君の言葉は誰にも届かない。
上に行く前に、潰される。
「いい加減にしろ!」
俺が大声で叫ぶとオフィスが一瞬静まった。
上司が怪訝そうな顔を向ける。
「なんだね、急に。仕事を辞めたければ勝手に」
「辞めるのは、お前たちの方だ」
俺は立ち上がり、変装をとく。
「この顔に見覚えがないか? この会社の社長だが」
オフィス内の空気はみるみる冷えていく。
大きな会社ゆえ、変装してしまえばバレなかった。
「部下が亡くなったと聞いて来てみれば」
俺は怒りを腹にしまい込んだまま、笑う。
「辞表を書くのはお前たちのほうだ」