【真夏の記憶】

真夏の記憶を思い出す。
暑すぎて海に行って泳いだなとか。
高原に行って風を感じたなとか。
結局クーラーの下が最高だとか。
そんなことばかりだった。
「はぁ」
吐き出す息は白い。
氷河期とやらが来たらしい。
今年の夏は生き残れるか。
俺は毛皮を握りしめた。

【こぼれたアイスクリーム】

こぼれたアイスクリームは手で拾えない。
そんなことは誰が言わなくてもわかる。
けど、君は手をべとべとにして拾ってる。
不気味に笑いながら。

【優しさなんて】

優しさなんていらないよ。
一円にだってならないからね。
優しさなんていらないよ。
上から目線がイラつくからね。
優しさなんていらないよ。
結局見返り求めるんだろ？
優しさなんていらないよ。
俺にはもう手遅れだから。
死体となってもここにいる。
呪ってやるよ、いつまでも。

【風を感じて】

花火大会に行く約束をした。
ずっとずっと前から。
けど、戦争が始まって。
それどころではなくなって。
何年も何年も行けなくて。
ようやく約束が叶って。
「あなたも見ているかしら」
君は風を感じて、何を想うのか。
俺にはわからない。
わからないけど、この時間がずっと。
続けばいいと思った。

【夢じゃない】

夢じゃないからやるしかない。
夢じゃないから生き返れない
夢じゃないからやり直せない。
夢だったら、良かったのに。