な子

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3/10/2025, 2:42:32 AM

嗚呼

「嗚呼」
「父は話すことができません」
「嗚呼」
「なので僕を間に入れてください」
「嗚呼」
「父は言っています」
「嗚呼」
「息子である僕にすべてを渡すと」
言ってない、言ってない。
そんなことは言ってない。
息子は笑ってる。
俺を見て、笑ってる。
これは俺の人生だ。
お前のものじゃ……。
「僕の人生をめちゃくちゃにしたお返しだよ」
二人きりの病室で息子は笑った。

3/8/2025, 11:31:03 PM

秘密の場所【ホラー注意】

あのね、あのね。
わたしの秘密の場所、
教えてあげる。
君のいちばん近くで、
考えてることもぜんぶわかって、
でも君には見つからなくて、
ふふふ、どこだろうね。
君のこと、なーんでもわかってる。
わたしのこと愛してるよね?
……あれ、愛してない?
いけない子だな。
君の脳内に埋め込んだのに。
わたしを、わたしの考えを埋め込んだのに。
愛してる愛してる愛してる。
さあ、今日も一日わたしのことだけを考えてね。

3/8/2025, 2:32:25 AM

ラララ

「ラララ~」
声が聴こえる。
無邪気な子供とも、
落ち着いた女声とも、
怒りに満ちた男声とも、
例えようのない声が耳元で聴こえる。
耳を塞いでも、
大声で叫んでも、
聴こえる。
これは誰の声?
わからない。
わからないけど、
僕はその声から逃れたくて
走って走って、
気付けばビルの屋上から

3/2/2025, 9:44:51 PM

誰かしら?

誰かしら?
こんな時間に。
誰かしら?
こんな場所に。
誰かしら?
誰かしら?

呼ばれてる?
呼ばれてる?
私が呼ばれてる?

会いたいのなら会ってあげる。
願いごとを叶えてあげる。
ただしあなたの命と引き換えにね。

3/1/2025, 12:37:44 AM

あの日の温もり

君からもらったあの日の温もりを、
私は決して忘れることはないだろう。
名前を、居場所を、衣服をくれた、
私の大切な大切な君。
何度、離れ離れになったって
何度、捨てられたって
私はあなたに会いに行く。
「私はメリーさん。いま、あなたの後ろにいるの」

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