ラララ
「ラララ~」
声が聴こえる。
無邪気な子供とも、
落ち着いた女声とも、
怒りに満ちた男声とも、
例えようのない声が耳元で聴こえる。
耳を塞いでも、
大声で叫んでも、
聴こえる。
これは誰の声?
わからない。
わからないけど、
僕はその声から逃れたくて
走って走って、
気付けばビルの屋上から
誰かしら?
誰かしら?
こんな時間に。
誰かしら?
こんな場所に。
誰かしら?
誰かしら?
呼ばれてる?
呼ばれてる?
私が呼ばれてる?
会いたいのなら会ってあげる。
願いごとを叶えてあげる。
ただしあなたの命と引き換えにね。
あの日の温もり
君からもらったあの日の温もりを、
私は決して忘れることはないだろう。
名前を、居場所を、衣服をくれた、
私の大切な大切な君。
何度、離れ離れになったって
何度、捨てられたって
私はあなたに会いに行く。
「私はメリーさん。いま、あなたの後ろにいるの」
君と見た虹
あの日、君と見た虹を僕は忘れることは無いだろう。
虹の根元にはお宝がある、だなんて君は言って。
二人で探しに行ったっけ。
人のいない空き地に虹の根元はあって。
二人で掘って。
宝を手に入れて。
「まだそんな夢を見てるの?」
誰かの声がする。
「お宝なんて手に入れてないでしょ」
誰かの声がする。
「虹の根元を目指して」
誰かの声がする。
「私は死んだの」
死んだはずの君の声がした。
ひそかな想い
気付かれないように。
気付かれないように。
ひそかな想いは隠しておくの。
だって、もう決まっているから。
お姉さまとあの方の結婚は、もう。
私みたいな人間にチャンスは無い。
嗚呼、でも悔しいわ。
「どんなことでもできる。だから諦めない」
お姉さまよくそうおっしゃっていたのに。
ただもし、諦めなくてもいいのなら。
私にも結婚できるとするなら。
ねぇ、お姉さま。
私やっぱり諦めたくないの。
だから。
「この毒林檎を食べてちょうだい」