な子

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2/20/2025, 9:25:34 PM

ひそかな想い

気付かれないように。
気付かれないように。
ひそかな想いは隠しておくの。
だって、もう決まっているから。
お姉さまとあの方の結婚は、もう。
私みたいな人間にチャンスは無い。
嗚呼、でも悔しいわ。
「どんなことでもできる。だから諦めない」
お姉さまよくそうおっしゃっていたのに。
ただもし、諦めなくてもいいのなら。
私にも結婚できるとするなら。
ねぇ、お姉さま。
私やっぱり諦めたくないの。
だから。
「この毒林檎を食べてちょうだい」

2/17/2025, 9:49:15 PM

輝き

その輝きは一瞬だ。
私はその一瞬を求めて夜になると彷徨っている。
今日は駅で見つけた。
ストリートピアノで輝く女性を。
私は彼女を見つめた。
終わってもなお、見つめ続けた。
彼女が人通りのない路地に向かった。
私は追った。
そして、彼女を。
「あなたが噂の吸血鬼さん?」
彼女は言って、私に水を、いや違う。
これはあああ。
「聖水だよ。バイバイ」
私は一瞬の輝きに包まれた。

2/15/2025, 8:30:44 PM

君の声がする。

ふと君の声がする。
仕事をしているとき。
電車を待っているとき。
歩道橋を歩いているとき。
君の優しげな声が聞こえる。
なんて言っているのかなんて。
ぜんぜん分からないんだけども。
きっとボクを応援してくれている。
今日も君のために、頑張ってくるよ。
庭に一人きりだなんて、寂しいからね。

「お前に殺されたお前に殺されたお前に殺された」

2/14/2025, 10:24:18 PM

ありがとう

ありがとう、感謝の言葉を教えてくれて。
ありがとう、地球の文化を教えてくれて。
ありがとう、僕らの言葉を信じてくれて。
ありがとう、力の差を理解してくれて。
ありがとう、対話で解決してくれて。
「今日から地球は我らの傘下になります」
ありがとう、ありがとう、ありがとう。

2/11/2025, 8:45:12 PM

ココロ

「ココロって必要ですか?」
授業中の教室で声が響いた。先生はモニターから生徒に視線を移す。生徒は五人しかいなかった。
「必要です」
「なぜですか?」
「他人を思いやることができるからです」
「思いやるって……争いを招くの間違いでは?」
生徒の言葉に先生はしばし黙った。言葉を選んでいるようだった。
「確かにココロがあるために争いが起きていることも事実です。けど、ココロなきニンゲンなど、ただのロボットです」
ロボットの先生はロボットの生徒たちにそう話した。

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