いとしい人、どうか泣かないで。
貴方は、人は1人だと言う。
どんな事があっても何をしていても、独りだと言う。
例え初めと終わりは1人きりだったとして。
貴方が言うように、本当に一生1人きりだとして。
それでも生きている間は、一刻でも、僅かだとしても
誰か一緒にいる。
例えそれが私でないとしても。
まだその時は来ないから。
だからどうか。
今はまだ、泣かないで。
目が覚めて、闇から開放されたと知る。
また一日が始まる。
窓から差し込む光に誘われて立ち上がり
玄関に向かって靴を履く。
何ら変わりないような朝。
扉を開くと無条件に照らす光。
別に特別な事ではない。
でも多分、当たり前でもない。
そんな太陽の下で、ただ深呼吸をする。
今日は、何をしよう。
そんな休日の朝。
落ちていく。
底の見えない水の中。
真っ逆様に落ちていく。
触れれば融ける想いの中。
ただ身を任せ堕ちていく。
底の知れない感情の中。
何処へ辿り着くのだろう。
思いは募り心の中で面積を増し、気付けば体積を増し
やがて小さな海を創り出す。
一雫の涙がひとつ。
またひとつ、さらにひとつ。
ぽたりぽたりら。
身を委ねれば報われる想いであれと願って。
雫の落ちる時。
想い交えて、時間をかけて。
融けて混ざって別の色。
想う人はただ一人。
私は貴方に、落ちていく。
共に支える、共に歩み、
時に相手の欠点に目を瞑り、
どちららかが命終える時迄、
同じ時間を分かち合う。
大半はそんな感じだろうか。
もう大半は何処かで別れ、別の道を歩むのだろう。
理由は知らない。
各々の間に、些細なすれ違いもあれば
暴力が引き金になる人達もいるだろう。
出会いも様々、別れも様々なのだろう。多分。
そう考えてみると人の心には謎が多いと、ぼんやり思う。
まあでも、どこかで道を違えるなら
端から夫婦になどならなければいい、というのが持論。
それだけ、自分の全てを喪ってもいいと思える相手が
そもそもこの世に居るかのかさえ、解らないから。
まず私はもう出会う前に死んでも別に、と思ったりもする。
正直どうだっていい。
出会ったら、心から生きたいと思えるのかどうかも
今の所は解らない。
ひと昔、ふた昔くらい前か、最近も言うのか知らないが
聞いたところによれば
結婚は人生の墓場とか言ってた時代もあっただのなかっただの。
別に私1人だって、夫婦2人だって
どっちだっていい。
何も変わらない。
どうせ同じ墓に入れるかも、入ったかも
きっとその時はもう
自分じゃ分からないだろうから。
暗い。
眼前が見えない。
心の闇が、いつまでも消えない。
どう足掻いても。
昔からの傷も、最近の傷も。
数多の傷達が私の邪魔をする。
これを消すにはどうしたらいいのだろう。
――――――多分、向き合うしかない。
心に傷を付けた痛み達と
真っ向に向き合えるだけの強さが
私は欲しい。
私は前に進みたい。