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7/13/2023, 3:14:08 PM

小学生の頃、冬休みの課題の中に
書き初めを提出するというものがあった
僕は書道に精通している祖母の家に丸2日通い
何十枚という数の「富士山」を書き
これならいいだろう、と太鼓判を押してもらった
1枚を手に家に帰った

母はそれを見るなり酷い顔をした
名前の書き方がおかしいから書き直せ、と
気付けば目の前にはもう見飽きた
習字セットが広げられていた
僕はひどく疲れていたので気力もなく
ぼうっと硯の上で筆を遊ばせていると
突然母に殴られた

その後泣きながら書いた1枚は
特選に選ばれ、県から賞状を貰った
母は自分が殴ったからとれたのだと笑っていた
当時の僕はクラスから浮いていたので
陰で何かを言われた気がしたが
そんなのどうでも良かった
あんな紙屑燃えてしまえ、と思った
優越感なんてものはどこにも無かった

今でも時折この出来事を思い出す
多分もう消えることはない
僕の中の黒点の一つ
ひどく睨んでくる黒点の一つ

7/11/2023, 4:41:32 PM

まだLINEなんてなかった時代
よく親の携帯を借りて
君とメールをした事を思い出した

僕が生徒会長に立候補して落選した時
他の友人は頑張ったねと励ましてくれたのに
君は「暇が増えるからまた一緒に遊べて嬉しい」なんて
メールの下部に隠すように吐露していて
結局それが一番記憶に残っている


変わっていくのなら全て見ておきたい
居なくなるのなら居た事を知りたい


BUMP OF CHICKENのR.I.P.という曲の好きな歌詞
なんて君に相応しいんだろうか
どうしてこんなに寂しいんだろうか

7/6/2023, 5:31:45 PM

時々ふと不思議に思う
どうして神様は僕達をこんなふうに
出会わせてくれたのだろうと

小学校帰りに急いで家に集まって
親に注意されるまでままごとで遊んだことも
中学校の頃一度だけ席が隣になって
授業なんてそっちのけで絵しりとりをした事も
高校からはバラバラだったけれど
合間を縫ってゲーム大会を開いたことも
大学の頃一度全てが嫌になった僕を
予定を蹴って家に泊まらせてくれたことも
今でもたまに話題にあがるそれらを
僕は一粒でも取りこぼしたくはない
今日のなんて事もない出来事でさえ
取りこぼさないように飾りつけてみる

同じものを見た時に
同じものを決まって連想するほど
僕らの思考はそっくりになって
けれど君は僕と違ってただ明るくて
前例のない突拍子もない行動をたまにしては
僕を翻弄させて笑わせる
こんなくだらない世界で
春の嵐みたいに突然僕の前に降ってきた君
他の誰にもとって変わりはしないから
どうか幸せでいてください

7/3/2023, 1:57:29 PM

この道の先になにがあるの
同じ風景 同じ匂い
唯一信じた君は遠く遠くの空
寂しいと呟いてみたって
街の喧騒に消されておわり

「お前も母親に似るんだ」って
むかしに兄は言ったけれど
その言葉を思い出して時折泣くくらい
自分の中身に嫌気がさしてる
それを言ったあなたにでさえ
きっと似ている自分がこわい
とどのつまりみんなきらい
自分を含めてみんなこわい

この場所に留まる意味をぐらぐら
沸騰した頭の中の底で考えている
碌なこと考えられない理由は
最近の天気のせいにしてしまえ

7/1/2023, 5:37:27 PM

窓越しに見えるのは
薄ぼんやりとした丸い月と
疲れ切った僕の顔

何も変わらないような日々の中で
目を凝らして些細に変わっていくものを拾い集めて
なんとなく運ばれていく
怖いくらいに先の見通せるこれからに
どうやって期待すればいいんだろう
どうやって愛せばいいんだろう

「この家は暖かい
何も脅威なんてない」なんて
言うのは簡単で
君が僕の母親を酷く嫌っている事実に安堵するような
確かな裏切りと冷たい内面を
僕はあと何度見過ごすのだろう
上手くやり過ごすのだろう
この場所で根を張るように
時間に比例して無分別に増える責任を
時折ぐしゃぐしゃにしてしまいたくなる
いい子になんてならなくて良かったのに

もう考えたくないから目を閉じるよ
まだ耳に残ってる君の声を
抱きしめて今日も眠るよ
さよなら おやすみ

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