小学生の頃、冬休みの課題の中に
書き初めを提出するというものがあった
僕は書道に精通している祖母の家に丸2日通い
何十枚という数の「富士山」を書き
これならいいだろう、と太鼓判を押してもらった
1枚を手に家に帰った
母はそれを見るなり酷い顔をした
名前の書き方がおかしいから書き直せ、と
気付けば目の前にはもう見飽きた
習字セットが広げられていた
僕はひどく疲れていたので気力もなく
ぼうっと硯の上で筆を遊ばせていると
突然母に殴られた
その後泣きながら書いた1枚は
特選に選ばれ、県から賞状を貰った
母は自分が殴ったからとれたのだと笑っていた
当時の僕はクラスから浮いていたので
陰で何かを言われた気がしたが
そんなのどうでも良かった
あんな紙屑燃えてしまえ、と思った
優越感なんてものはどこにも無かった
今でも時折この出来事を思い出す
多分もう消えることはない
僕の中の黒点の一つ
ひどく睨んでくる黒点の一つ
7/13/2023, 3:14:08 PM