鶴づれ

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10/1/2023, 12:25:06 PM

たそがれ


 誰そ彼時。
 人の顔が見分けにくい、日の落ちた頃。
 彼女の部活が終わるのは大体この時間だ。
 校門のそばで待っていると、昇降口から歩いてくる人は確かによく見えない。離れているからなおさらだ。
 でも、君の姿だけはよく分かるよ。
 ほら、テニスのラケットを下げて、大きく手を振ってくれてる。振り返すと、ぱぁっと笑って走って来てくれる。
 暗くなったのに、君は真昼みたいだから。
 スポットライトが当たっているように、君だけが輝いて見えるんだ。

9/27/2023, 3:20:30 AM

秋🍁


 田んぼの脇に、群れて咲く彼岸花。
 妖しいほどに紅い花が、私の秋のしるし。

9/26/2023, 10:20:28 AM

窓から見える景色


 新幹線の窓側。
 眩しいと分かっていつつもパーテーションを開ける。
 見えるのは地元とは全く違う街。
 洗練されたビル群に、暖かみのある観光地。のどかな田園風景に、誰もが知るお菓子の工場。
 一瞬で流れていってしまうこの景色が、移動中の一番の思い出。

9/24/2023, 12:52:09 PM

形の無いもの


 昔は水が好きだった。
 周りに合わせて、どんな形にだってなれるから。
 自分自身の形は無いけど、君のように周りを見て、自分から合わせられるってことだろう?
 僕のように、集団のなかの尖ったものでいるよりずっといい。僕はただ、周りを傷つけるだけなんだ。
 だから君に憧れたし、君みたいな水も好きだった。



 今は水が憎い。大嫌い。
 なぜかって?君を奪ったからに決まってるだろ。
 あぁ、水に形があればよかったのに。
 そうしたら君の仇討ちができる。君の命を、君を苦しめながら奪った水を、同じように痛めつけてやれるのに。
 今も君を愛してる。だけど君みたいな水は、水滴すら見たくない。

9/22/2023, 10:03:35 AM

秋恋


 赤く染まった紅葉の下に、ずっと想い続けた君がいる。

 肌寒くなったね、と君が言う。

 僕の右手で、君の左手を軽く握る。

 君と僕の頬が、紅葉と同じ色に染まる。

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