夜明け前のキッチンで歌おう
海岸に座って海を見よう
なんとなく隣町まで行こう
なんでもない日にワインを飲もう
たまには好きなものだけ食べよう
乾燥機を待つ間に本を読もう
素敵な日の終わりにお花を買おう
世界はこんなにも広いのにちっとも丸くないねって笑おう
-言葉はいらない、ただ、-
2019年から2020年に変わった日のことをよく覚えている
ちらほらと雪が舞う12月31日だった
私はよく意味もない写真を撮るが、この日友人に指摘された
無闇に写真をとって未来の自分に残そうとしても無駄だと
そんな画面越しの景色を残すなら、もっと今を生きろと
それでこの友人は私にフィルムカメラをプレゼントしてくれた
2019年最後の日はお天気雨だった(お天気雪、だろうか)
キリのいい数字になるから、いっそ私の人生から沢山のものをマイナスしてみた(ちょうど高校卒業の年だったこともある)
画面越しの景色を見るのをやめた
ものを沢山沢山、山ほど所有するのをやめた
我慢して何も言わないのをやめた
寝る前に明日の不安を考えるのをやめた
今、天気予報にもなかった大雨が降ったとして、私は思い切りその雨の中に飛び込むだろう(去年の夏実際に飛び込んでみた)
どれだけの人が雨に打たれることを好むだろう
どれだけの人が雨に打たれる感覚を知っているだろう
友人曰く、人生はマイナスしてこそプラスになると
だからお風呂でくしゃみが止まらなくなるのも承知で、お前は雨に打たれに行けと
-雨に佇む-
深くて、青くて、どこまでも続く海は
何が潜んでいるのか分からなくて
浅瀬で波の音を聞くのが精一杯だけど
もしその地平線にも終わりがあるのなら
もしその深い青にも底があるのなら
私が恐れているものは想像よりもずっと
美しく、儚く、ただ静かに
ずっとそこにいるだけなのかもしれない
-海へ-
台湾の空が好き
日本の空より少し低くて、少し青い
朝は澄んだ水色で
お昼頃には灰色の雨雲が出てきて
雨が止んだら綺麗な赤焼けで
夜になる前は深海の様な深い青になる
-空模様-
鏡は、私が映したいものを映す。
ただ世界が反転しているわけじゃない。
鏡の中には、私が映したい私が存在する。
-鏡-