テル・ミー
教えてくれ
俺に教えてくれないか?
壮大なヨハネの黙示録より
退屈な大学の講義より
本当の愛というものを教えて欲しいんだ
教えてくれ
本当のお前を教えてくれないか?
お前はこの世界の住人じゃないんだろう?
お前は別の場所からやって来たんだろう?
なあ、お前というものを教えてくれよ
ああ、そうか
今分かった気がするよ
俺の魂は屋根裏のどこかにしまっていたんだ
お前のおかげで思い出した
お前は特別な物質なんだったんだな
俺はいつか飛んでいきたいんだ
だからもっとお前の世界を教えて欲しい
タバコの煙のように消えちまう前に
その小さな炎をずっと
燃やし続けておいてくれ
俺はお前が好きなんだ
バレー・オブ・ザ・キングス
君は僕に嘘をついてもいい
僕は君に嘘はつかないから
君は僕を傷つけてもいい
僕は君を傷つけないから
君は青空
僕は星空
州法の掟を守るなら、銃を懐に忍ばせたっていい
大地が僕を呑み込んでも、君が無事ならいい
それでいいんだ
それならいいんだ、君さえ笑っていられるなら
泣くのは僕だけでいいんだよ
ベツレヘムの夢を見たんだ
神が降りてきて僕にこう言ったんだよ
『彼女の全てを許しなさい』と
だから、僕はもう君を恨まない
二度と傷つけないと決めたんだ
遠い地球の裏側にある砂漠のオアシス
ビートルズのベストアルバム
死者の国の王家の谷
僕はもう君を忘れるよ
だから君も早く僕を忘れて
胸のドアをノックしないでくれ
そこにはもう、僕は居ないのだから
オブリビオン(マイ・フレンズ)
早朝から私のアパートの扉をノックする人がいる。
私はボサボサの頭とパジャマ姿で扉を開ける。
そこに居たのは、友達。
懐かしい制服。
懐かしいメンバー。
懐かしくて愛おしい人々。
そこは私の大嫌いな世界じゃなかった。
そこにはかつて私の大好きな世界があった。
今ではもう遠い過去になってしまった場所。
懐かしい友人たちに囲まれる私がいる。
教室、カフェテリア、部室。
友人の一人が私の手を取り、連れ出してくれる。
ここは現実じゃないのね。
だって貴方たちが居るはずないもの。
卒業してから、バラバラになったじゃない。
きっと私は狂っているのね。
でも、今は貴方たちと居たい。
この馬鹿げた幻想の中で揺れていたいから。
私は孤独から抜け出したくて、ずっと待ってた。
忘却の彼方へと消えてしまう前に。
私は生まれ変わりたい。
またもう一度、私の友達でいてくれるのね?
ううん、ずっと友達だったんだよね?
やり直せるよね、今からでも、遅くないよね?
どこにも書けないこと
もう、何も書きたくない。
書くことに理由を見つけられない。
俺は今まで詩や短編を書いてきたが、それに何の意味があるのだろうか?
結局自己満足に他ならないのではないか?
もう、嫌だ。
消えてしまいたい。
俺の居場所なんてどこにもないのだから。
苦しいのは嫌だ。
眠るように、安らかに消えてしまえたら、どんなに幸せだろう?
子供もいらない。
未来もいらない。
どこか遠くへ行って、そこで死んだように誰にも見つからずに暮らせたらそれでいいのに。
キル・ミー
俺なんて居ない方がいい
俺なんて居ない方がマシだ
きっとみんな俺を気の毒なヤツだと思ってる
俺はビョーキなんだ
でもカフカみたいに生きてはいけない
俺がムカつくか?
俺が腹立たしいか?
俺が居ると胸クソ悪いってのか?
本当はそう思ってるんだろ?
お前らは俺が消えて欲しいと思ってるんだろ?
だったら殺せよ
その腰にぶら下げてるピストルはお飾りか?
その右手のナイフは骨董品か?
さっさとヤりゃいいじゃねえか?
きっとスッキリするぜ、お互いにな
どうした腰抜けども?
殺せないってんなら大人しく陰口言ってろよ
お前らに同情なんてされたかねえんだ
ええ? どいつもこいつも面白い顔しやがって
お前らみんなそうやって群れてりゃいい
お前らがいちばんミジメだよ
ひとりぼっちのハンプティダンプティども。