John Doe(短編小説)

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2/9/2024, 12:42:51 PM

オブリビオン(マイ・フレンズ)


早朝から私のアパートの扉をノックする人がいる。
私はボサボサの頭とパジャマ姿で扉を開ける。
そこに居たのは、友達。
懐かしい制服。
懐かしいメンバー。
懐かしくて愛おしい人々。

そこは私の大嫌いな世界じゃなかった。
そこにはかつて私の大好きな世界があった。
今ではもう遠い過去になってしまった場所。
懐かしい友人たちに囲まれる私がいる。
教室、カフェテリア、部室。
友人の一人が私の手を取り、連れ出してくれる。

ここは現実じゃないのね。
だって貴方たちが居るはずないもの。
卒業してから、バラバラになったじゃない。
きっと私は狂っているのね。
でも、今は貴方たちと居たい。
この馬鹿げた幻想の中で揺れていたいから。

私は孤独から抜け出したくて、ずっと待ってた。
忘却の彼方へと消えてしまう前に。
私は生まれ変わりたい。

またもう一度、私の友達でいてくれるのね?
ううん、ずっと友達だったんだよね?
やり直せるよね、今からでも、遅くないよね?

2/7/2024, 10:06:11 AM

どこにも書けないこと


もう、何も書きたくない。
書くことに理由を見つけられない。
俺は今まで詩や短編を書いてきたが、それに何の意味があるのだろうか?
結局自己満足に他ならないのではないか?
もう、嫌だ。
消えてしまいたい。
俺の居場所なんてどこにもないのだから。
苦しいのは嫌だ。
眠るように、安らかに消えてしまえたら、どんなに幸せだろう?

子供もいらない。
未来もいらない。
どこか遠くへ行って、そこで死んだように誰にも見つからずに暮らせたらそれでいいのに。

2/4/2024, 10:43:09 AM

キル・ミー


俺なんて居ない方がいい
俺なんて居ない方がマシだ
きっとみんな俺を気の毒なヤツだと思ってる
俺はビョーキなんだ
でもカフカみたいに生きてはいけない

俺がムカつくか?
俺が腹立たしいか?
俺が居ると胸クソ悪いってのか?
本当はそう思ってるんだろ?
お前らは俺が消えて欲しいと思ってるんだろ?

だったら殺せよ
その腰にぶら下げてるピストルはお飾りか?
その右手のナイフは骨董品か?
さっさとヤりゃいいじゃねえか?
きっとスッキリするぜ、お互いにな

どうした腰抜けども?
殺せないってんなら大人しく陰口言ってろよ
お前らに同情なんてされたかねえんだ

ええ? どいつもこいつも面白い顔しやがって
お前らみんなそうやって群れてりゃいい

お前らがいちばんミジメだよ
ひとりぼっちのハンプティダンプティども。

2/3/2024, 1:06:35 PM

ビートル


ブロンドヘアーの君は強くドアを閉める
クールな横顔を確認したあと、ビートルを走らせた
俺は親父のお下がりのパーカーを着ている
彼女はティーンエイジャーなベスト
でも君は俺を笑ったりしない
俺が灰をかぶったお姫様なのを知っているから

水色のビートルは彼女の学校の校門で止まる
君は味気ないキスをすると降りていくんだ
俺は魂を引っこ抜かれたようになる
だけどすぐにアクセルを踏む
もう二度と見たくないような気がした
人生はクリスプみたいに薄くてすぐなくなる

チューインガムを噛みながら鼻歌を歌う
昔親父の車で聴いたブルースだ
鉄橋を渡り、街中へ向かう
途中で喫茶店に寄り、栄養補給した
ちらつくコンピューターの画面を見ていた
それから性病予防の広告を見て店を出る

雨が降りだした

天井に衝突する雨音が妙に辛気臭かったのさ

2/2/2024, 2:04:02 PM

マイ・スマイル・イズ・カバード・イン・ブラッド


私は地下鉄の最終便に乗りました
でも、家に帰るつもりはありません
時刻はもうすぐ日付が変わろうとしています
私以外、誰も車両に乗客は居ませんでした
電車は走り出しました

しばらく私は軽く目を閉じて考えます
なぜ彼らは知恵の実を食べたのかを
なぜ政府は月面に到達したなどと嘘をついたのかを
しかし、私にはどうでもいいことです
この世界は退屈なだけですから

私は仮面をつけています
笑顔が描かれた子供の落書きのような仮面です
ですが、仮面の下ではいつも泣いています
悲しいからではありません
血の涙が溢れてくるのは、きっと孤独だから

今日も涙が流れて止まりません
どうせなら泣き声をあげてみたかった
私の血にまみれた笑顔はさぞかし不気味でしょう
自殺する勇気なんか持ち合わせてやしない
でもどうせ、明日の朝には忘れています

ところで、電車はいつ止まるのでしょうか?
もう、ずうっと長いこと走り続けています
暗闇の中を
暗闇の奥へと
それは心地好く、少し不気味で不安定な、帰路

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