John Doe(短編小説)

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2/4/2024, 10:43:09 AM

キル・ミー


俺なんて居ない方がいい
俺なんて居ない方がマシだ
きっとみんな俺を気の毒なヤツだと思ってる
俺はビョーキなんだ
でもカフカみたいに生きてはいけない

俺がムカつくか?
俺が腹立たしいか?
俺が居ると胸クソ悪いってのか?
本当はそう思ってるんだろ?
お前らは俺が消えて欲しいと思ってるんだろ?

だったら殺せよ
その腰にぶら下げてるピストルはお飾りか?
その右手のナイフは骨董品か?
さっさとヤりゃいいじゃねえか?
きっとスッキリするぜ、お互いにな

どうした腰抜けども?
殺せないってんなら大人しく陰口言ってろよ
お前らに同情なんてされたかねえんだ

ええ? どいつもこいつも面白い顔しやがって
お前らみんなそうやって群れてりゃいい

お前らがいちばんミジメだよ
ひとりぼっちのハンプティダンプティども。

2/3/2024, 1:06:35 PM

ビートル


ブロンドヘアーの君は強くドアを閉める
クールな横顔を確認したあと、ビートルを走らせた
俺は親父のお下がりのパーカーを着ている
彼女はティーンエイジャーなベスト
でも君は俺を笑ったりしない
俺が灰をかぶったお姫様なのを知っているから

水色のビートルは彼女の学校の校門で止まる
君は味気ないキスをすると降りていくんだ
俺は魂を引っこ抜かれたようになる
だけどすぐにアクセルを踏む
もう二度と見たくないような気がした
人生はクリスプみたいに薄くてすぐなくなる

チューインガムを噛みながら鼻歌を歌う
昔親父の車で聴いたブルースだ
鉄橋を渡り、街中へ向かう
途中で喫茶店に寄り、栄養補給した
ちらつくコンピューターの画面を見ていた
それから性病予防の広告を見て店を出る

雨が降りだした

天井に衝突する雨音が妙に辛気臭かったのさ

2/2/2024, 2:04:02 PM

マイ・スマイル・イズ・カバード・イン・ブラッド


私は地下鉄の最終便に乗りました
でも、家に帰るつもりはありません
時刻はもうすぐ日付が変わろうとしています
私以外、誰も車両に乗客は居ませんでした
電車は走り出しました

しばらく私は軽く目を閉じて考えます
なぜ彼らは知恵の実を食べたのかを
なぜ政府は月面に到達したなどと嘘をついたのかを
しかし、私にはどうでもいいことです
この世界は退屈なだけですから

私は仮面をつけています
笑顔が描かれた子供の落書きのような仮面です
ですが、仮面の下ではいつも泣いています
悲しいからではありません
血の涙が溢れてくるのは、きっと孤独だから

今日も涙が流れて止まりません
どうせなら泣き声をあげてみたかった
私の血にまみれた笑顔はさぞかし不気味でしょう
自殺する勇気なんか持ち合わせてやしない
でもどうせ、明日の朝には忘れています

ところで、電車はいつ止まるのでしょうか?
もう、ずうっと長いこと走り続けています
暗闇の中を
暗闇の奥へと
それは心地好く、少し不気味で不安定な、帰路

2/1/2024, 3:53:08 AM

プレイス


ここはひどく息苦しい
繰り返されるパニック発作

何かにすがっていたい
神じゃなくてもいい

止まないエンジン音と動悸
ここはひどい場所だ

僕は生きている心地がしないんだ
ただの部屋なのにこの場所では溺死しそう

連れ出してくれ
僕をチョコレートの殻の中から

1/31/2024, 9:30:59 AM

フェイス


一度だけでいい
ただ一度だけでいいんだ

君の顔を見せておくれ
僕と彼女のどちらに君は似ているんだい?

お願いだよ
君は間違いなく僕らの宝物なんだ

どんな宝石よりも愛おしく思うよ
たとえそれがすぐに砕けてしまう宝石でも

お願いだよ
どうか神様

彼女も彼女のお腹の中の君も
どうか行かないで、せめて顔だけでも

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