リトルボーイ
うだるような夏の朝
司令部に伝令が入った
『作戦は完了した』と
重要な任務を遂げ、家へと帰還する
家族の笑顔を見るために
暗黒の空の下で何が起きたかなんて知らない
日曜日のミサは忘れずに参加する
そして寝る前に神様に祈りを捧げる
8時15分にテレビを見ていた
ようやく全てが終わったと思った
僕には関係のないことだ
ガールフレンドさえいればそれでいい
僕は無邪気な少年だった
70年前からずっとそうさ
それが今でも僕を苦しめている
いつも思う
どうしてこうも歴史は残酷なのかと。
そして再び惨劇を繰り返す人類の愚かさを。
メトロポリスで見つけて
君はメトロポリスの住人
ミステリアスなこの都市で生まれ育った
きらびやかな摩天楼
巨大な沿岸工場地帯
芸術科学の臨界点
誰もが思い描く理想郷
それがメトロポリス
君は愛のテレパシーを僕に送る
空飛ぶクルマで会いに行くよ
むき出しの鉄骨の山を越え
ビルの谷間をすり抜け
酸性雨の嵐の下を飛ぶ
メトロポリスへ
愛の理想郷へ
君を狙う悪を光線銃を撃つ
おちおちしていられない
都市の中心に聳え立つタワー
そのてっぺんに君が囚われている
僕は必死に螺旋階段を昇る
武装した兵隊たちが行く手を阻む
構うもんか、僕はただ君に会いたいだけなんだ
頂上の小さな部屋に君はいた
そして僕を見て微笑んだ君を
強く強く抱きしめた
メトロポリスで君を見つけた
渡り廊下
無機質な空間に、無意味な渡り廊下
私はそこを歩いている
どこへ向かっているのかわからない
進んでいるのかさえ明確ではない
廊下の先は空っぽの部屋
さらに進むとまた廊下が現れる
そしてまた部屋が。
もうずっとこんな調子なんだ
ひどく疲れた
建物は絶えず増築を繰り返している
まるで誰かさんの人生を見てるようだ
渡り廊下から空が見える
安っぽい、作り物の空がペイントされてるみたい
意味を持ってないから
意味を持つ理由がないから
不安はないし、希望もない
シーシュポスの神話を思い出す
これは試練なのか、罰なのか
考えることすら、私を疲れさせる
歩いても立ち止まっても、建物は広がっていく
ぼうっとしてても時は進む、人生のように。
ビール
長い歴史の中で知恵の果実を食べた人類が生み出した最も優れたものは何か。
蒸気機関?
電力?
はたまた原子力?
答えはビールだ。
ビール
大麦の麦芽を発酵させたアルコール飲料
琥珀のような液体
そいつが喉から胃へと流れていくあの瞬間
俺は生きる意味はビールだと知る
炎天下の夏の午後、仕事終わりのあのビール
最高だ。
この世で最もうまい飲み物はコーラだと確信してた三、四年前。
いつからか俺はビールを飲むようになっていた。
オジー自慢のオ○オンビール。
最高だ。
芸術少女
人生は壮大なアートだと彼女は言った
アバンギャルドというらしい
僕はよくわからない
ピカソ
ダリ
マグリット
とてつもない才能を有した偉人たち
彼らにはこの世界がどう見えていたのだろう
僕にはそんな感性はないのが残念
色彩で溢れる
真っ白なキャンバスに筆を走らせる
そんな君が好きだ
君が描く絵の世界に連れていってほしい
理解されなくてもいい
僕のエゴで、君の才能を一人占めしたいのだから