John Doe(短編小説)

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リトルボーイ


うだるような夏の朝
司令部に伝令が入った
『作戦は完了した』と
重要な任務を遂げ、家へと帰還する
家族の笑顔を見るために

暗黒の空の下で何が起きたかなんて知らない
日曜日のミサは忘れずに参加する
そして寝る前に神様に祈りを捧げる
8時15分にテレビを見ていた
ようやく全てが終わったと思った

僕には関係のないことだ
ガールフレンドさえいればそれでいい
僕は無邪気な少年だった
70年前からずっとそうさ
それが今でも僕を苦しめている

いつも思う
どうしてこうも歴史は残酷なのかと。
そして再び惨劇を繰り返す人類の愚かさを。

8/4/2023, 2:52:58 AM