メトロポリスで見つけて
君はメトロポリスの住人
ミステリアスなこの都市で生まれ育った
きらびやかな摩天楼
巨大な沿岸工場地帯
芸術科学の臨界点
誰もが思い描く理想郷
それがメトロポリス
君は愛のテレパシーを僕に送る
空飛ぶクルマで会いに行くよ
むき出しの鉄骨の山を越え
ビルの谷間をすり抜け
酸性雨の嵐の下を飛ぶ
メトロポリスへ
愛の理想郷へ
君を狙う悪を光線銃を撃つ
おちおちしていられない
都市の中心に聳え立つタワー
そのてっぺんに君が囚われている
僕は必死に螺旋階段を昇る
武装した兵隊たちが行く手を阻む
構うもんか、僕はただ君に会いたいだけなんだ
頂上の小さな部屋に君はいた
そして僕を見て微笑んだ君を
強く強く抱きしめた
メトロポリスで君を見つけた
渡り廊下
無機質な空間に、無意味な渡り廊下
私はそこを歩いている
どこへ向かっているのかわからない
進んでいるのかさえ明確ではない
廊下の先は空っぽの部屋
さらに進むとまた廊下が現れる
そしてまた部屋が。
もうずっとこんな調子なんだ
ひどく疲れた
建物は絶えず増築を繰り返している
まるで誰かさんの人生を見てるようだ
渡り廊下から空が見える
安っぽい、作り物の空がペイントされてるみたい
意味を持ってないから
意味を持つ理由がないから
不安はないし、希望もない
シーシュポスの神話を思い出す
これは試練なのか、罰なのか
考えることすら、私を疲れさせる
歩いても立ち止まっても、建物は広がっていく
ぼうっとしてても時は進む、人生のように。
ビール
長い歴史の中で知恵の果実を食べた人類が生み出した最も優れたものは何か。
蒸気機関?
電力?
はたまた原子力?
答えはビールだ。
ビール
大麦の麦芽を発酵させたアルコール飲料
琥珀のような液体
そいつが喉から胃へと流れていくあの瞬間
俺は生きる意味はビールだと知る
炎天下の夏の午後、仕事終わりのあのビール
最高だ。
この世で最もうまい飲み物はコーラだと確信してた三、四年前。
いつからか俺はビールを飲むようになっていた。
オジー自慢のオ○オンビール。
最高だ。
芸術少女
人生は壮大なアートだと彼女は言った
アバンギャルドというらしい
僕はよくわからない
ピカソ
ダリ
マグリット
とてつもない才能を有した偉人たち
彼らにはこの世界がどう見えていたのだろう
僕にはそんな感性はないのが残念
色彩で溢れる
真っ白なキャンバスに筆を走らせる
そんな君が好きだ
君が描く絵の世界に連れていってほしい
理解されなくてもいい
僕のエゴで、君の才能を一人占めしたいのだから
真っ黒な眼で見つめたもの
人々はキラキラしたものだけを見ている
暗黒からは眼を背けている
葛藤や悩みから、逃げたがっている
壊れていく、人生
年老いていく、たましい
若き日の夢は朽ちた揺りかごの中
あまりにも空虚な世界
雑踏、ざわめき、無気力
アーケードから覗く乾いた空
ただ回る風力発電のプロペラ
私の眼に映るものは
眼を背けたくなるような、ありのままの世界
真っ黒な眼で見つめたもの
言葉になんか、できない
尊くて、失ってはいけないモノ
私も、やがて朽ちていく
それでも、この真っ黒な眼は閉ざさない