John Doe(短編小説)

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7/25/2023, 10:46:58 AM

ダウンフォール


悪事と悦楽の交差点
古びた秩序は捨て去った
若い魂が肉体の中で反響している
耐えられなくなり、髪を短くした
列車に揺られながら君を想う
日が落ちてもいっこうに夜は来ない
でも気配だけは微かに感じる
そして霊園に溶けていく
無数のカラスが見つめてくる
約束された崩壊へと、新しい理念へと
徐々に僕らは近づきつつあるのに
それでもなお、反芻し続けているんだ
記憶が改変されても、骨までは作り替えられない
それだけが唯一の救い
生命のハーモニーを奏でるとき
真の自由は湖畔へ
月明かりに照らされ
間もなく静寂な夜が降りてくる

7/24/2023, 1:10:46 AM

TEC-DC9半自動拳銃


私が特別なんじゃない、周りが異常なんだ。
ただ、それだけのことなのに気がつくのにずいぶんと時間がかかった。
私は今日まで臆病者だった。
ひどく怯えてきた。
まるでオオカミの群れに囲まれたウサギだった。
なら、そんなウサギの皮を捨ててトラになろう。

私は、今日までトラになるために生きてきたんだ。
だけど、トラだっていつかは死ぬ。
今日の夜にはそんな猛獣のようなトラも息絶えていることだろう。
誰かがトラを殺すか。
私自身がトラを殺すか。

ただ、それだけだ。

7/18/2023, 1:34:18 AM

電光


あなたが目覚めるとき
私は大地に水をもたらす
世界が潤うように
荒れ果てた大地を緑に戻す
あなたは裸足で大海を渡る
私は数多の宝石を散りばめ
正しき道を示す
無数の電光が見えるだろうか
回遊魚のように宙を漂う
新世界《ベツレヘム》の扉
闇夜の石
紫外線と礼拝堂
廃車、廃墟
天の使者の呼び声
ナイルの川
時空間

そして、あなたの大いなる存在。

7/10/2023, 10:45:28 AM

光と影


貴方の光で私の世界を照らして

まばゆいばかりの光が欲しいの

私の心の街には雨雲がかかっている

貴方の笑顔は例えば私の太陽になる

ここはね、本当はとても素敵な街なの

貴方という光があれば完璧

お願い、照らして

その優しさで私を包んで

天国のような貴方の世界を見せてよ…

7/9/2023, 1:12:46 PM

それはとても甘酸っぱくて、心地よくて、同時に恐怖を感じるモノ


『抱いて』と君は言った
それを聞いて僕はひどくショックを受けた
頭を金づちで殴られた気分だ
君は冗談を言っているように見えなかった
怒りと不安を感じたのを覚えている
僕は君が好きだ その感情は本物だ
だけど僕は君の身体が好きなんじゃない
君は僕をそんな目で見ていたのかい?
だったら裏切られた気がするよ
僕がおかしいのかな?
ダメなんだ、そういうのは怖いから
大人の男女はみんなそうするんだろうけど
僕らはまだ子供じゃないか
君が怖いよ
君が得体の知れないモノになっていく

気がついたとき
本能的に僕は君を押し倒していた。
分からない 何が正しいのか。
でも、君がそう望むなら。
これが僕らが恋人である証明になるのなら。

ただ、ひとつ教えて欲しい
『君はこれで幸せか?』

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