お知らせ
メンタル不調のため、しばらくお休みします。
いつも読んでくださりありがとうございます。
水鏡
黒薔薇
あなたは完璧な女性だった
その容姿も、性格も、声色も、感性も、頭脳も
わたしを魅了するには十分過ぎた
あなたは悪くない
何も悪くないのに
あなたからは悪意しか感じられない
憎くて仕方ない
愛おしくて仕方ない
恐ろしくて仕方ない
あなたをわたしのものにしたい
でも、あなたに嫌われたくない
あなたに嫌われたら、きっと生きていけない
あなたをわたしのものにできない欲求不満が
わたしを狂わせる
あなたが怖い
あなたが微笑む
悪意たっぷりの美しい笑みで
そんな顔でわたしを見ないで
あなたの全てが欲しい
その悪意さえも
血液の一滴も残さず、全てすべてスベテ
欲しい欲しイホシイ
好き嫌い好キ嫌イスキキライ
真っ黒な薔薇のような悪意が
わたしの肺を満たすとき
どうしようもないと知ったとき
わたしは
スイング
お洒落で愉快なジャズマンがやって来た
ピアノ、ベース、ドラムにサックスが
メロディー奏でます都会の隅で
悲しそうな顔した少年少女も
ごらん、身体が揺れだしスイングを始める
音階は色彩を描きます絵の具のように
忙しなく道行くビジネスマンも
足を止めればたちまちスイングを始める
寂しそうなそこの人よ
ステージへどうぞ、共に踊りましょう
色褪せた日常のキャンバスに
筆を走らせ描きますジャズマンと
都会に夜がやってくる
賑やかな夜がやってくる
いつかは終わってしまう喧騒も
今だけは忘れてスイングしましょう
島
青と白が混ざります波線模様
その真ん中に小さな島がありました
日の光をうけて輝きますヤシの木
ここは絶海 真夏の孤島
だあれもいないあなたとわたしだけ
黄色い砂粒きらきらと
足跡消します海岸線
とおくで鳥が鳴いている
寂しい孤島 名も無き孤島
冷たく氷った月に照らされる顔
だあれもいない筈なのに
火薬のはぜる音がした
軍艦、戦車に兵隊が
戦争始めて冬がきた
南の島に雪がふる
灰色の雪がふる
灰色の雪がふる
あなたの身体は灰になる…
花
美しい花、白い花
私の心に咲いた花
あなたの心はどんな花
それはたとえば薔薇の花
それはもしくは桃の花
けれど私は摘み取ります
どうせ枯れてしまうので
美しいまま、殺しましょう
嗚呼あなたは美しい
健気に揺れる水辺の花よ