NoName14

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8/6/2024, 12:20:37 AM


鐘が鳴ると、厄災が起こる。

小さな村の住人たちは
その言い付けを、代々守り続ける。

幼い頃から刷り込まれた
鐘に近づいてはいけないの
鐘を鳴らしてはいけないの
皆んなが不幸になってしまうのよ。

誰もが、何故?という
疑問を抱かない。

きっと、命と引き換えになっても
誰も鐘に触れないのだろう。

そうして、恐れていた事が起こった。
村に疫病が流行り
慎ましく生活してきた村人に
薬なんて買える代物ではなかった。

ただひとつ、あの黄金色に輝く
鐘を売り払う以外には
生き延びる選択肢はなかったのだ。

そうして、村は村人ごと
滅びてしまった。
あの鐘だけを残して。

その鐘すら、どこの誰かが盗んでいった。

厄災は起きなかった。
ただただ、村人たちは自分の中に
巣食ったあの鐘の呪縛を
ふり払う事が出来なかったのだ。


【お題:鐘の音】

8/4/2024, 11:36:06 PM


つまらないことでも
他にやることが無いなら
手を出してみたら、どうかな。

まだ、夏は続いて
暑過ぎて、やる気も気力も
何か考えるのですら面倒だけど。

やらなきゃいけないことを横目に
クーラーの効いたファミレスで
耳にも入ってこない雑談を
お金と時間とグラスの氷を溶かしながら
過ごすより。

もしかしたら、違う何かが
起こるかもしれない。

何もかもが有限な世界だからこそ
無駄になる時間は、きっと無い。


【お題:つまらないことでも】

7/25/2024, 3:56:35 PM


鳥かごの中には
何が見える?

何羽かの鳥?
それとも、空っぽ?
自分自身や、愛する人?

閉じ込めるのも
閉じ込められるのも好きじゃない。

だから私は、出入り口も
常にあけておく。

気が向いたら、餌を食べに
来てもいいし。
羽根を休ませてる隙に
捕まえたりもしないよ。

いつだって、飛び立つ自由は
誰にでも平等にあるはず

それなのに、私は…

少々の不便は、不要な付属品として
人生という時間制限には付き物だ。

部屋に舞い落ちた、羽根を手に取り
ふっと吹くと
驚くほど軽やかに、また羽根は
空に戻った。

【お題鳥かご】

7/24/2024, 10:17:03 AM


築いてきたと、思っていた 友情。

気持ちの厚みも
過ごした時間も

困っていたら、助けたい
悩んでいるなら、静かに見守りたい

かけたい言葉を
時には、グッとのみこんで
背中をさすった。

だけど、また、違ったんだね。

きっとこの沈黙は
そういう事なんだよね。

寂しくて、2回ほどノックは
してみたけれど。

ソコに居るのに、返事はない。

私が思うよりも
友情は、希薄で…脆いものなのかな。

静かに立ち去りながら
どうしてかなって…小さく寂しい
ため息がこぼれた。


【お題:友情】

7/18/2024, 1:02:53 PM


私は、私だけという亡霊に
酷く取り憑かれていた。

最初は、砂時計のように
サラサラと溜まり込んだ不満や
吐き場所のない思いだった。

砂は湿り、重みを増して
私の苦しみは蓄積した。

そのうちに、心まで蝕まれた。
私が私を追い詰めた結果だった。

そうして、そのうちいつか
自分に向けていた刃を
他人に向けてしまうのではと
こわくなった。

自分を守ること
自分を大切にすること
それを、自分に許可してあげること

そうすることで、少しずつゆっくりと
砂は乾き、時間は再び動き出した。

けれど、あの苦しさは忘れない。
もう二度と囚われないためにも…

【お題:私だけ】

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