どこかで、期待してしまう
私の歪な心の隙間に
雪でも降り積もってしまえば
何かを、望む暇もなく
目も、気持ちも、身体も冷めるだろう。
白く白く、埋まってしまいたい。
それなのに空は、濃い灰色。
…まだ、雪は降らない。
【お題:雪を待つ】
言葉と言葉が、ぶつかって
傷つくのは 心と心
だけど、その痛みまでは
お互いに知らない。
言葉は、発した瞬間から
消えてゆく。
心の傷は、その瞬間から
深く深く広がってゆく。
私を覆う、肉という皮の中が
どれだけ ぼろぼろ かなんて。
にこにこしてりゃ
誰も、知らない。
そして、私も、何も知らない。
【お題:心と心】
何でもないフリは
得意だった。
平気なフリ
見て見ぬフリ
聞こえないフリ
それが、自衛にもなると思った。
けれど…なんだか違うんだ。
些細なこと、気付いたことに
手を伸ばしてみたい。
世界の大きな渦の、端っこでいい。
私は、私らしく。
通り過ぎようとした、足を止め
私は、駆け寄った。
大丈夫ですか、と声をかけ
そっと手をさしだした。
【お題:何でもないフリ】
もう、お前のことは考えない。
これからは、別々の道を歩むよ。
それで、いいのよ。
ありがとう。
彼女が、望んだ言葉だった。
彼女の死期は近かった。
彼女は、優しく微笑んで
翌日…ひっそりと姿を消した。
まるで、今までの事が
幻だったかのように……。
病室を出る俺に
さよならは、言わないで
と、彼女は言った。
静かに頷き、部屋を出たけれど。
どんな、気持ちで
そう言ったのだろう。
さよなら…それは、彼女がどれだけ
望んだとしても
俺も言えなかったよ。
【お題:さよならは言わないで】
距離は、縮まらない。
遠くに住む あの人に
会うには 動かなければならない。
画面越しに話すのは
容易いのに
きっと、飛行機に飛び乗って
会いに行くことだって
本当は、簡単なことなはずなのに。
私たちは、この距離感が
好きなんだな。
見えない壁に隔たれているからこそ
成り立つ関係は
どこまで、続くのかな。
【お題:距離】