もう、お前のことは考えない。
これからは、別々の道を歩むよ。
それで、いいのよ。
ありがとう。
彼女が、望んだ言葉だった。
彼女の死期は近かった。
彼女は、優しく微笑んで
翌日…ひっそりと姿を消した。
まるで、今までの事が
幻だったかのように……。
病室を出る俺に
さよならは、言わないで
と、彼女は言った。
静かに頷き、部屋を出たけれど。
どんな、気持ちで
そう言ったのだろう。
さよなら…それは、彼女がどれだけ
望んだとしても
俺も言えなかったよ。
【お題:さよならは言わないで】
12/3/2023, 12:01:08 PM