ふと、気づけば
日没もだいぶ早くなったものだ。
まだ、感覚的には
明るい時間帯なのだが
外は思いのほか、黄昏れている。
今日から、10月か。
まだ、9月のままだった
カレンダーをベリベリと剥がす。
10月の、私の誕生日の日付けには
じーじーおたんじょおび!と
色鉛筆で、大きくはみ出した文字が
すぐに飛び込んできた。
ふふっと、笑いが込み上げる。
そしてなんとも言いがたい
愛おしさに包まれた。
【お題:たそがれ】
自分が、何歳だか
忘れちゃうくらい忙しい
時期が、人生にはあると思う。
やるべき事に迫られて
どれだけ、動き続けてるかも
分からなくて。
大事な物を抱えながらも
止まれない。
使命感も、あるかもしれない。
けれど、自分にしか
出来ないことだと思うからこそ
きっと明日も、頑張れる。
【お題:きっと明日も】
部屋の明かりを、全て消し
秋めいてきた夜風が、わずかに部屋に
流れ込むのを肌身で感じる。
今年は満月で、見る事の出来た
中秋の名月…
静寂に包まれた部屋で
ひとり、眺める。
ただこの一夜の月が美しければ
何も、要らない。
【お題:静寂に包まれた部屋】
誕生日おめでとう!!
仕事の合間や休みを費やして
用意した、誕生日会も今年で2回目だ。
彼は、今年もめちゃくちゃ
喜んでくれた。
喜んで貰うためだけに、今日という日を
私も楽しみにしていたから
心の底から、喜ぶその笑顔に安渡した。
彼…だけど彼氏ではない。
ただ、気が合ってなんだかんだ
傍にいる人だ。
「今だけ、一個違いだねー
また、直ぐに私の方が年取るけどさぁ。」
会計を、済ませ
そろそろお開きの時間。
店を出て、そう言った私に彼は
「姉さんだねぇ」と、呟いた。
「じゃ、君は弟なわけ?」そういつもの
ノリで返しながらも
私は、心が息苦しくなるのを感じてた。
「うん、そうだね。」
うまく笑えてるかも分からないけど
「弟なら、私が守ってやらなきゃな!」
そう言って、笑顔でまたねと。
彼を見送った。
姉さん…その言葉が刺さって抜けなかった。
自分は恋愛対象じゃないと
不意打ちに、通告された気分になった。
そんな、些細なことで一気に落ち込むほど
彼の存在は、大きかったみたいだ。
彼の誕生日…涙がひと筋…頬を伝った。
【お題:別れ際に】
ももくりさんねんかきはちねん。
テレビをつければ
栗とさつま芋で溢れている。
スーパーに行けば
ハロウィンを意識させるお菓子と
期間限定の品が、どーんと
目に付く場所に陳列されている。
何気ない、日常からじわじわと
秋だぞと背中を押されている気がする。
私は秋という、季節に思いを寄せている。
少し素敵な便箋を、探してみたり
日々移り変わる風景に喜んでみたり
少し寒いなと感じれば
お気に入りの羽織りを引っ張り出して
外出を楽しみにしている。
そうして、はじまりの足音とともに
抱くこの憂いた感情も、まさに秋恋なのだ。
【お題:秋恋】