願うだろうか。
もう、終わってしまうのに?
人々が、終わりの恐怖に
狂わずにその1日を安寧に過ごせるかも
分からないのに。
それこそ、自分自身も。
生きてるうちに、散々と願った事を
どれほど叶えられたかなとは
少し考えるかもしれない。
そうして、心地よく眠りたいな。
これは、お題で…きっと明日も明後日も
世界はあるだろうけど。
もう、終わってしまうことに
願いをかけるより
この世界で、自分が叶えられた事を
幾つも数えられる生き方は、今からでも
始められるんだよね。
【お題:明日世界が終わるとしたら、何を願おう】
母は強しというけれど
実際に、自分が母親になった瞬間から
毎日が不安の塊でしかなかった。
絶対的に、何があろうと
死なせてはならない。
我が子という、未知の生き物。
育児という経験値も何もないのに
手元には頼りになる情報もない。
ただ、手応えのない日々を必死に過ごし
我が子は、順調な様子で成長はしているものの
私は、それでも不安の塊だった。
そんなある晩、地震が起きた。
寝不足もピークで、何もかもが
辛い時期だった。
けれど、揺れたと思った瞬間には
布団を飛び出し
私は、眠る我が子を守る為に
覆い被さった。
咄嗟の行動だった。
幸い揺れも大した事はなく
私は、また布団に入り直した。
けれど、私の胸の中には
熱いものがひとつ。
君と出逢ってから、私は…
自分の命より大切な存在の意味を
知りました。
【お題:君と出逢ってから、私は⋯】
風が草原を撫でる音が
耳の横をかすめていく。
誰も来ない、静かな場所で
1人、その心地良さに次第に…僕は…
気がつくと
辺りは、暗闇だった。
居心地の悪さは、窮屈さと息苦しさがあった。
ここから出たいという本能が
強烈に体を突き抜け
少し温かいような
ぼくを覆う何かを必死になって叩いた。
次第にそれは、ポロポロと
崩れ落ち、真っ白な光が幾つも
差しこんできたんだ。
外に這い出た時には
それが、僕の抜け殻であったことを知り
背中の小さな翼に気付いた瞬間だった。
ふと、意識が戻る。
風は心地よく吹き抜けたままだけど
遠い昔の夢を見た気がする。
空を眺めると、雲が流れを変えて
次の街に向かう気流が見えた。
ゆっくりと立ちあがり
思い切り翼を広げ
久しぶりの地上との別れを惜しみながら
僕は空に戻った。
【お題:大地に寝転び雲が流れる/目を閉じると
浮かんできたのはどんなお話?】
ありがとう。
今月で、何年目の命日だったかな。
まさか、1番最初の親しい人との
お別れが、父さんなんて思わなかった。
今年、最初の墓参りに行った時は
雪でお墓が埋まっちゃってたね。
腰まで雪に埋まりながら
線香と、タバコだけ握りしめて
父さんの墓に触れた。
凄く晴れてたけど、雪が舞い始めたから
あぁ、来たねって分かったよ。
前の時も、いきなり土砂降りになって
虹が出てさ。
お化けが居るかなんて
知らないけど、父さんの仕業だと
思ってる。
こんなに、生きてて欲しかったのは
今でも父さんだけだよ。
『ありがとう』って、何度でも伝えたいよ。
けど、未だに直ぐ泣きそうになるから
今日は、このへんにしとくね。
お題【 ありがとう そんな言葉を伝えたかった】
疑い深い私は
自分の事すら信じきれない。
裏切られた傷口は、何度も膿んで
いつの間にか、疑心暗鬼が
棲みついてしまった。
どうせ、裏切るだろう。
まぁ、それでも良いと…
そんなもんだろうと。
だから、優しい言葉なんか
気安く言わないで、放っておいてよ
私の中の疑心暗鬼が、囁き出すから…
ただの、友だちでいいのに
距離なんか空いたままでいいのに
わたし、これ以上
誰のことも疑いたくない。
これ以上、居場所を失いたくない。
だからもう、近付かないで
優しくしないで。
【お題:優しくしないで】