風が草原を撫でる音が
耳の横をかすめていく。
誰も来ない、静かな場所で
1人、その心地良さに次第に…僕は…
気がつくと
辺りは、暗闇だった。
居心地の悪さは、窮屈さと息苦しさがあった。
ここから出たいという本能が
強烈に体を突き抜け
少し温かいような
ぼくを覆う何かを必死になって叩いた。
次第にそれは、ポロポロと
崩れ落ち、真っ白な光が幾つも
差しこんできたんだ。
外に這い出た時には
それが、僕の抜け殻であったことを知り
背中の小さな翼に気付いた瞬間だった。
ふと、意識が戻る。
風は心地よく吹き抜けたままだけど
遠い昔の夢を見た気がする。
空を眺めると、雲が流れを変えて
次の街に向かう気流が見えた。
ゆっくりと立ちあがり
思い切り翼を広げ
久しぶりの地上との別れを惜しみながら
僕は空に戻った。
【お題:大地に寝転び雲が流れる/目を閉じると
浮かんできたのはどんなお話?】
ありがとう。
今月で、何年目の命日だったかな。
まさか、1番最初の親しい人との
お別れが、父さんなんて思わなかった。
今年、最初の墓参りに行った時は
雪でお墓が埋まっちゃってたね。
腰まで雪に埋まりながら
線香と、タバコだけ握りしめて
父さんの墓に触れた。
凄く晴れてたけど、雪が舞い始めたから
あぁ、来たねって分かったよ。
前の時も、いきなり土砂降りになって
虹が出てさ。
お化けが居るかなんて
知らないけど、父さんの仕業だと
思ってる。
こんなに、生きてて欲しかったのは
今でも父さんだけだよ。
『ありがとう』って、何度でも伝えたいよ。
けど、未だに直ぐ泣きそうになるから
今日は、このへんにしとくね。
お題【 ありがとう そんな言葉を伝えたかった】
疑い深い私は
自分の事すら信じきれない。
裏切られた傷口は、何度も膿んで
いつの間にか、疑心暗鬼が
棲みついてしまった。
どうせ、裏切るだろう。
まぁ、それでも良いと…
そんなもんだろうと。
だから、優しい言葉なんか
気安く言わないで、放っておいてよ
私の中の疑心暗鬼が、囁き出すから…
ただの、友だちでいいのに
距離なんか空いたままでいいのに
わたし、これ以上
誰のことも疑いたくない。
これ以上、居場所を失いたくない。
だからもう、近付かないで
優しくしないで。
【お題:優しくしないで】
普段忙しい、あなたが
まとまったお休みがとれた
と聞いて、嬉しくなる。
休みに入ったとは言え
残りの仕事をこなしながら
昨日は、ハンバーグ
今日は、青椒肉絲を作るよと
教えてくれた。
ピーマンの緑、人参のオレンジ
明日は久々に大好きな海に行くと
聞いたから、空は青色。
海は…海はどうだろう。
あなたが、幸せだと
私も幸せ。
心まで、カラフルに染まる。
あの人は、私の願いを知らないけれど
あなたの、お休みが
あなたの心身を癒す良い休日に
なりますように。
【お題:カラフル】
私は楽園という
終着駅を目指す亡霊だ。
そこに何があるか
知りもしないのに。
【お題:楽園】