1つだけ、は難しい。
1つだけの願い事。1つだけ選べる選択肢。
シュミレーションしてみても、答えを出せた試しがない。
1つだけ、と思ってもその1つは他の幾つかと連動して成り立っているから、1つだけを決めるのは難しい。
本当は、選ぶのが怖いだけかもしれない。
1つを選んだら、他の全てがなくなるなんてことになりそうで。
私にとっての大切なものは、終わりまで書いた物語。
特別評価が良かったとか、沢山の人に見てもらえたとかではないけれど、私にとっての紛れもない宝物。
書き切ったことが、大切なこと。
後は、最近ハマっている小説のシリーズ。短編で読みやすいし、ちょっとショートショートにも似ている。
大切なものは他にもあるけれど、今日は、書く習慣に則って物語に絞ってみた。
エイプリルフールは、午前中についた嘘を午後にはバラさないといけないらしい。午前中だけの嘘と考えると、些細な嘘ぐらいしか考えられない気がする。
後は、ソシャゲや公式Twitterの企画とか。
小市民としては、エイプリルフールは企画に乗るだけで自分からは発信しない日、じゃないかな。
古い本棚を漁るのは楽しい。
その中で一際懐かしいものを見つけて、僕は頬が緩んでしまった。
古ぼけたその科学雑誌は超新星爆発の事を特集していて、その当時時間があれば読みふけっていたものだった。
その雑誌が、当時ただの同僚でしかなかった彼女の目に止まって、二人で色々話すきっかけになったのだった。
アプローチは彼女の方からだったのが、今の関係を考えると意外なような。そうでもないような。
なにせ僕は、彼女の事が星や植物と同じぐらい大好きだから。
でも、彼女が僕のことをどれだけ好きなのかは、未知数だ。
婚約者になっても、こればかりは読めない。
ただ、間違いなく言えるのは、今の僕は幸せだということ。
願わくば、彼女も幸せにできているといい。
職場の昼休み。
お弁当を食べ終えた私は、窓際で雑誌を読んでいる彼のことを観察する。
雑誌は星の特集が組まれた科学雑誌。
(星が好きなのね)
熱心に読み込んでいる姿に思わず頬が緩んでしまった。
同じ職場の同僚。先日知り合ったばかりの他人。一緒に動くプロジェクトの中で異彩を放っている人。
そんな相手に、どうやら私は気があるらしい。
つい、何気ないふりで彼の一挙一投足を盗み見てしまう。
あんまりじっと見てると怪しい人物なのでそれとなく。それとなく。
ページをゆっくりとめくる指先。雑誌に落とし込まれた視線に前髪がかかり落ちている。
その表情は夢を見ているように優しい。
ふと、夢から醒めたように彼が目を瞬いた。
私も職場の時計で確認したら、そろそろお昼の時間は終わりそう。
私は、名残惜しさを隠して次の仕事の準備に取り掛かる。
今日、帰りしなにお昼に読んでいた雑誌のことを聞いてみようか。
私は密かにそう決めると、高鳴る鼓動を知らぬふり、次の仕事、彼と一緒のプロジェクトの打ち合わせに向かっていった。