NoName

Open App
10/28/2024, 3:38:40 AM

お題 紅茶の香り



「紅茶を淹れてもらえるかしら」

そう言って目を細めて笑うのは僕の医学の先生である。
学校の本棟から離れた場所に位置する小さな教室。
先生1人と生徒がせいぜい5、6人入るほどの教室である。
しかも先生の書いた研究資料や本などが沢山積み上げられていてまともに歩けるのは先生の机の周りくらいだ。
教室の外は中庭と呼ばれているがまるで庭園のように
草木が生い茂り花も沢山咲いていて
それを横目に研究している先生はとても絵になる。

そんな先生を見始めて早4年。
最初は他の生徒もよく出入りして先生に教えを乞うていたが一切この教室に近寄らなくなった者もいれば
退学してしまった者もいてか
早々に僕と先生の二人きりになっていた。
勿体ない。こんな綺麗で素敵な先生に教えて貰えることなど今後一生ないだろうに。
まぁ、仕方がないか。
だから紅茶好きの先生に毎日紅茶を淹れるのは僕だけ。
そんなことを考えながらすぐ淹れますね。と返せば
先生は
「もう貴方に紅茶を淹れてもらうのも最後ね。来年からまた新しい子に淹れてもらわないと。」
なんて困った顔をしながら言う。
それを聞いた僕は心が締め付けられそうになりながら
先生に紅茶を差し出す。
「...寂しいですね。とても残念だ。」

そして紅茶を口にした先生は眠くなってきたと言っていつも仮眠しているベッドに横になった。
それからもう何時間も経つ。

段々と温かさが消える先生の頬をやさそっと撫でながら
「先生がいけないんですよ?
僕以外の人に紅茶を淹れてもらおうとするから。」
と呟くが先生はもう聞く耳を持っていないだろう。

ベットの横の小さな机に丁寧に置かれたティーカップから
ふわっと紅茶の香りがした。

「嫌いだったなぁ、この匂い」

10/26/2024, 5:13:16 AM

友達✍️
下書きですみません...

10/22/2024, 6:31:49 AM

お題 声が枯れるまで


今日は君に会いに行く約束の日。
鏡を見ながら身なりを整えここ最近は
外すこととなかったピアスを外して
この日の為だけにあると言っても過言では無いお気に入りのピアスを刺す。
鞄にはお茶と携帯と少し大きめのハンカチを。
久しぶりだな。1年ぶりか。
社会人になってから学生の時よりも1年はあっという間に過ぎていく。
テストや長期休みといった大きな区切りもなければ
特別思い出になることをしているわけでもないと言うのに。
そんなことを考えながら誰もいない部屋に向かって
いってきますと残して家を出る。
まだ早い時間だから少し肌寒い。
吐く息は白くふわりと空へ消えていく。
そうだ、最近出来たパン屋さんに寄っていこう。
君は最近のここらの事は知らないだろうから。
ここのパン屋のメロンパンがサクサクで美味しくてね。
最近ハマっているんだ。
お花も買っていこう。喜んでくれるといいな。
色々買い物を済ませ君との待ち合わせの場所に向かう。
もう来てるかな。
君はいつも私よりも先に到着してぼーっと時間を潰してたよね。
でも今日は私の方が先みたいだ。
去年もそうじゃなかった?変わっちゃったなぁ君は。私との約束忘れちゃったの?私を待たせるなんていつもしないのに。
誰もいない桜の木の下が待ち合わせ場所。
木の幹をそっと撫でながら
お待たせ
と呟けば堪えられない涙が零れ落ちる。
あぁ、何年経っても慣れないな。
やっぱり君は来ない。
何分経っても
何時間経っても
何日経っても
何年経っても。
止めようと思うほどとめどなく溢れてくる涙。
君は、もう居ないんだ、
痛いほど思い知らされる。
言ってたじゃない。今日この日、この木の下でって。
でも何回来ようと君はいない。
君の名前を何回叫んでも。
私がここでずっと泣いていても。君は来ない。
あ...あぁ............うぅ......
嗚咽とともに気持ちも涙も溢れ出てくる。
私は毎年ここで涙を流す。日が暮れるまで。声が枯れるまで。
ようやく涙がおさまったら
次はお墓参りに行こう。
花はもう萎れてきてしまっているし、
毎年、1日遅れてしまうけれど。

昨日が君の命日だから。

10/19/2024, 1:13:55 PM

お題 すれ違い

下書き...✍️

10/18/2024, 4:30:45 AM

お題 忘れたくても忘れられない

時間が無いので下書き...✍️

Next